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･.｡*･.｡*
刻side
刹那「刻ぃ〜、今日の予定は？」
刻「俺は今日は珍しく年上の王子様でぇす」
刹那「あら、ホンマに珍しいこと
いつも年上のおねぇ様ばっかやのにな」
俺の代わりにホワイトボードの待ち合わせ場所や
相手の名前、約束の時間なんかを書き換えてくれる刹那
彼は、ちょっぴり天然な元ヤン風彼氏を演じるらしい
オールバックめに固められた髪に、頬に貼られた絆創膏
刻「……なんか、すごい違和感」
刹那「なにが？」
刻「服装はちゃんとしてるのに、絆創膏？」
刹那「えぇ〜ヤンチャ感出るかな思たんけどなぁ」
そうぼやきながら、近くの鏡を覗き込んで
痛くないようにとゆっくり絆創膏を剥がす刹那
それを横目に、今日の依頼内容をもう一度確認する
イチヤ「……男嫌いを克服したい、ねぇ」
刻「うわっ、ビックリした。いつの間に後ろいたの…」
イチヤ「刻にこそ、そういう役がお似合いだよね」
刻「イチヤは確かに向いてなさそう」
先程のように音もなく人の後ろに立てるくらい静かで
普段から何を考えているのか分からないような…
そういう部分だけを切り取ると、
女性からすると少し怖いかもしれない
それでも、イチヤに依頼する女性は決して少なくない
刻「………掴めないよなー、イチヤって」
イチヤ「いや、刻にだけは言われたくないよ」
刻「……………？」
……なぜ、俺も掴めないと言われるんだ？
右利きなのに左手で飯食ったりするから？
暇な時にブツブツ素数呟いたりするからか？
それとも､､､
___心当たりが結構あって、そこで考えるのをやめた…
刹那「今日の夜も難儀しそうやなぁ」
イチヤ「俺は割といつも通り」
刻「…俺も、今夜は苦労しそうだな」
刹那はまだ絆創膏を付け直すか悩みながら
イチヤはあまり抑揚のない声で
刻は『男嫌い』というワードに少々困惑しながら
俺らは今夜も『
待ち合わせ場所にいた、警戒心丸出しの野良猫のような彼女
俺で本当にどうにかなるのか…？という気持ちを
ぐっと紳士な笑顔の裏に隠して、彼女をエスコートする
彼女との、Aとの初めての出会いの思い出はこんな感じ
･.｡*･.｡*
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作者名：抹茶あずき | 作成日時：2024年2月16日 21時
