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夜、待ち合わせの10分前


緊張でキリキリ痛みだすお腹


いっそ今からキャンセルしてしまいたい…
なんて思いながら、ぎゅっと目を瞑る




暗闇に包まれると、入ってくる情報が減る分
少しだけど気が紛れる気がする。…気がするだけ


『………帰りたい、、、でも、仕事、契約、お詫び…うぅっ』


いつかは、乗り越えないといけないとは思っていた


親から送られてくるメッセージにも
(彼氏はいないの?)(いい人は居ないの?)
的なニュアンスのものがたまに紛れているし

仕事のことももちろん、このままでは
いつ首を切られてもおかしくないような状態だし



『はぁ……』と諦めのため息をついた時、
小さくトントン、と叩かれた肩



目を開けて、恐る恐る振り返れば…




刻「お待たせ。Aさん、だよね?」




ふわふわした、優しそうな人。


彼の第一印象はそれだった


緩くパーマのかかった茶髪に、綺麗な瞳
形の良い唇は笑みを浮かべていて
痩せ型な体型に合った服装に、少し柔軟剤の香り




刻「確か……男の人が、苦手なんだっけ?
今日、大丈夫?突然だったし、俺で良かった?」




背はそこまで高くないけれど、腰を落として
顔を覗き込むみたいに、上目がちにこちらを見る


距離感を測ってくれている、その感じがとても安心した


いつもなら誰であっても 男の人、という括りで
びくびく怖がってしまっていたけれど
この人は、刻さんは、平気かもしれない…



ただ、声に出して伝えようにも緊張がまだ勝ってしまって
こくこくこく、と小さく何度か頷くので精一杯



刻「大丈夫そ?無理してない?
…良かったぁ、無理ですって言われたら俺もう…、」


ショックで泣いちゃってたかも、と笑いながら
冗談っぽく囁く顔が、子供みたいで可愛らしくて
つい微笑んでしまう


この感覚が 母性をくすぐられる、という事なのか…




刻「あっ、笑ってくれた。ちょっと緊張ほぐれた?」


『すこ、しだけ…』


刻「うんうん、ちょっとずつでいいよ。時間はいっぱい
あるから、ゆっくり俺とお喋りしよう?」




じゃあ、行こっか。と歩き出す彼は
何気ない様子で手を差し出した


私はまだ、その手を取れなくて固まってしまう




刻「あっ、袖掴んでくれてもいいよ?
むしろその方がお姫様をエスコートする
騎士(ナイト)って感じがするでしょ」




それだったら…と、肘の辺りをそっと掴むと
2人、ゆっくりと横浜の夜を歩き出した




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設定タグ:吉野北人 , THERAMPAGE   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:抹茶あずき | 作成日時:2024年2月16日 21時

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