et cetera 2【吉野北人】 (ページ2)

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次の日、会社に出た私は同期の姿を探していた

「あ、Aおはっよー」と気さくに挨拶して、
さっさと仕事に取り掛かろうとする彼女こそ
昨晩、例のURLを送ってきた本人である

『ちょちょちょ、普通に仕事しようとしないでよ
あれ何？昨日の、その、デートなんちゃらってやつ…』

「え、もしかしてまだ依頼送ってないの？
せっかく紹介してあげたのに、私信頼されてない？」

『そ、そういう訳じゃないけど…』

入社してからずっと、私のことを一番近くで見てくれて
支えてくれて守ってくれた、親友とも言える彼女だ

信頼していない訳では無いけれど…

やっぱり、知らないものに飛び込む勇気も
ましてや相手は男の人だし…

「ほら、うち去年婚約してたの破談になったじゃん？」

『う、うん。そこまであっけらかんと言えるのすごいね…』

「まぁまぁ。それでさ、こんな私でも一応傷付いたわけ
んでもって婚約中の浮気もしっかり慰謝料取れるらしくて
先々月かな？一括で支払われたから、いま私プチ富豪なの」

彼女曰く、お金に余裕ができたことで、そのお金で
エステなどに通おうかと色々と調べている最中に
『MY KNIGHT』の存在を知った、ということらしい

ホストなどと違ってお店に通うのではなく
リクエストを出し、それをデートという形で応えてもらう

もちろん、こちらが依頼する側なので
そこで発生する食事代も含め、料金を支払うのだそう

「私も何回かお願いしてね、たくさん話聞いてもらったの
擬似彼氏だから、そりゃあもう甘やかしてもらってさ
けどそれだけで私は満足しちゃって。せっかくなら、って」

『私の男の人苦手なのを、克服させようと……？』

「そう！せっかく契約取れてもAに仕事回した途端
仕事にならないから契約切りたい、ってもう何回あったか…」

頭を抱える彼女に、否定できない事実に
見えないナイフが深々と胸に突き刺さる

「これまでの契約を取り返す代わりに、でいいから
これ以上仕事に支障きたす前に行ってきて。分かった？」

『わ、わかりました……』

胸にナイフが刺さった状態の私に
拒む気力も、そもそもその権利すらなく…

彼女に言われるがままに、『MY KNIGHT』への
依頼のメールを送る

すぐに届いた返信には、ほかの予約の関係で
"彼"とのデートは明日の夜しか難しいとのこと

『明日だなんて…心の準備が…』

本当に男嫌いを克服できるのだろうか…

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