グリム童話〈ars〉 (ページ9)

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おばあさんが包丁を研ぎながら怒鳴りますがいくら怒鳴られてもこんな事は悲しすぎてテキパキと出来ません。

Aがいつまでものろのろやっているので、おばあさんはすっかり腹を立てました。

ちょうどパン焼きがまの火が燃えていたので、おばあさんはAに言いつけました。

「他の事はいいから、パンが焼けるかどうか釜戸の中へ入って火かげんを見ておいで」

おばあさんはAをかまどで丸焼きにして、頭からガリガリ食べるつもりだったのです。

Aは、すぐにそれに気がつきました。
そこでわざと首をかしげると、

「釜戸にはどうやって入るのか分からないわ」

と、言いました。

「本当にお前はバカだねえ。
こうやってちょっと体をかがめりゃ誰だって入れるじゃないか」

と、おばあさんは、かまどの入口へ頭をつっこんで見せました。

(今だわ！)

するとAは、おばあさんを力まかせに後ろから突き飛ばしました。

「うぎゃぁぁぁーー！」

釜戸に転げおちたおばあさんはカミナリが落ちてきたかと思うほどの叫び声をあげました。

Aは、鳥かごに閉じ込められた和也のところへ駆け寄りました。

｢お兄ちゃん！魔女はやっつけたわ！あたしたち、助かったのよ！」

和也「ほんとうかい！ありがとう、A」

やっと鳥かごから出る事が出来たAは、妹を抱き寄せて泣いて喜びました。

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