十人十色 (ページ20)

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いよいよ三者面談の日。

最後に家を出て行く俺に

「今日14時でよかったんだよね？」
「うん。」
「了解。行ってらっしゃい。」

とふわりと母さんに微笑まれて俺は学校に向かう。

「はよー、今日三者面談だな。」
入って来るなり、友達に話かけられる。

「おはよ。そうだなー。」

と俺が返すと

「お前んとこ、お母さんが来んの？」
「そうだけど？」
「いいよなー、お前の母さん美人で。
しかも、お前成績優秀だし、何も言われることないじゃん。」

なんてお気楽に言う友達。

ママが美人なのは認める。自慢のママだ。
でも、いくら学校の成績がよくても
模試で取れなきゃ意味ない。
親もそうだけど、担任にも言われるだろうなぁ・・・
そんな慧の思いをよそに、友達は
俺のママと俺の成績の話をひたすらしていた。

放課後。
廊下でママが来るのを待っていたら
どこからかざわめき声が聞こえる。
耳をすませてみると

「うわー、すげーあの人美人。」
「ってか若っ。」「何才？」

ってママを知らない人のざわめきもあれば、

「八乙女さんよ。」
「いつ見ても美人で綺麗よね。」
「子どもも大きいのに、何で
あんな綺麗でいられるのかしらね。」
「八乙女君がうらやましい。」

なんて声も聞こえてくる。

俺はひそかに笑みをこぼしていた。

「あ、慧ー!」

と母さんがまさにパタパタという表現に
ぴったりな小走りでかけよってくる。

ママの身長は基本的に普通の女性と比べると高い。
下手したら、ヒールをはくとパパより高いかもしれない。
だから、スタイルがよくて美人や綺麗といわれがちだ。
でも、一つ一つの行動と笑顔が幼くさせて可愛くもなる。