十人十色 (ページ14)

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イライラライム色ページ14

「慧、助けて。」
「は!?」
「慧兄ぃー、ここ分からない。」
「どれ？」
「僕も!!」
「教えてー。」
「はいはい。順番な。」
「ありがとう。」
「やっぱ慧兄ぃ分かりやすい!」
「慧兄ぃ賢いねー。」

夏休みももう終わりに近づいた頃、お馬鹿トリオを筆頭に
いつも慧に泣きつくのが八乙女家の日常。

「もう、また宿題タメたの？
毎日言ったじゃないの。やりなさいって。
慧も受験生なんだから、
慧ばっかに頼ってちゃダメでしょ。
自分でしなきゃ。分からないとこあったら
お母さんが聞くから。」

泣きつく子どもを見て母さんはあきれ顔。

「あ、別にいいよ。
もう自分の宿題は終わってるし。」

慧が微笑んで言うのに対して

「そう？ごめんね。
いつも慧にばっかり任せちゃって。」

お母さんは困った顔。

「学習能力のないやつ。」

とボソッと毒を吐くのは侑李。

「お兄ちゃんたちもあきないねー。」

と龍太郎。

「まぁあんだけ遊んでたらね。」

と苦笑気味の裕翔。

こちらは成績優秀の子どもたち。
成績が優秀な子たちほど宿題は早めに終わらしている。

そして、夜ももう11時。

「ほら、今日は夜遅いからもう寝なさい。」

と母さんが言うのに対し

「え、まだ明日も休みだからいいじゃん。」
「そんなこと言って学校始まったら起きれないでしょ。
今から生活習慣戻しとかないと。ほら、寝た寝た。」

と母さんはまだ起きてる子どもたちを促す。

「ママー、おやすみー。」

とぎゅぅと抱き着くのは侑李。

「はいはい、侑李は偉いねー。」

とお母さんもぎゅっと抱きしめる。
それをしてやったり顔で涼介たちを見つめる侑李は確信犯だ。

「僕も、僕もぎゅっとして!!」

と龍太郎に涼介までもが集まってくる。

「はいはい」

とお母さんも一人一人を抱きしめ

「おやすみなさい。」

と微笑む。

皆が寝室に行き、静かになった八乙女家。
母さんは光の帰りを待つとともに、
台所で何かせわしなく動いている。