24話:あの人と一緒 □ ページ30
朝方の4時
3月だと言うのにまだまだ寒く、少しだけ厚着をして家近くの公園で待っていた。普段の奴らなら蹴りひとつでも喰らわしてやりたい所だが、何せ今日はいつもとは違う人。
プロロ…と朝方には似合わないバイクの音を鳴らしながら止まるのを声をかけるのと同時にみやる。
｢久しぶり、元気だった？｣
あの赤城でさえも連絡を寄越さないと嘆いていた彼…兄さんこと藤沢さんに声をかける。といっても、リアルでも私は兄さんとよぶのだが。
ni｢まあまあ。…そっちは｣
｢寒い中待ってた人にそれいう？｣
ni｢でも、待っててくれたやん｣
バイクに乗ったままの兄さんは早くと言わんばかりにヘルメットを私によこす。それを受け取ると、兄さんの後ろに座り掴まる。
私と兄さんは実言うと大学の時密かに身を寄せあっていた仲だった。これは黒川達は当然知らない。ゲーム実況を初めて兄さんが徐々に動画に現さなくなったと並行して自然消滅したのだ。
彼とこういう風にし始めたのは2年前の同じ時期だ。
こっちから送っても反応がなかったのに、唐突に
＜ドライブにしよう＞
なんて送ってきた。それからあっちから送られてくるメールに反応をし、今日もこうやってバイクの後ろに乗り走っているのだ。冷たい風を身を切っていく。
ni｢動画みたよ。｣
｢黒川が作ったゲームのやつ？｣
ni｢うん。あの二人も元気そう｣
｢煩いぐらいだよ。｣
少しだけ会話が弾む。そして沈黙。この頃には朝日が少しだけ顔を出し始め、私達を照らし始めていた。
｢ねぇ、兄さん｣
ni｢…｣
｢また、一緒に…｣
ni｢だめ｣
その言葉にハッとし、兄さんの方に少し顔を向ける。
ni｢そのままでも、楽しいでしょ｣
｢確かにそうかもしれない。でも、私はあの時の方も楽しかったよ。｣
兄さんの背中に顔を埋める。いつもの彼の匂いに何故だか焦っていた心が落ち着いていった。
ni｢俺はダメだったけれど、Aが[オコメ]として活躍してるところもっと観てたい。｣
｢ダメじゃないよ。でも、兄さんが言うなら｣
声が震える私とは対照的に安らかな声で兄さんは話していた。
ある程度ドライブをして、家近くの公園で降ろしてもらう。
｢ごめん、ありがとう。また乗せてよね。｣
ni｢言われなくても｣
そう言ってエンジンを出している最中に
ni｢…俺は別に＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。じゃ｣
そう言うと去っていった。私はその言葉に地団駄を踏み赤面するしかなかったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 321人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく(プロフ) - みずきさん» 頑張っていきます！ (2022年9月27日 23時) (
レス) id: 49add6a36f (このIDを非表示/違反報告)
みずき - うわあ！？久しぶりの更新ありがとうございます！！！ (2022年9月27日 1時) (レス) @page30 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年8月29日 3時) (レス) id: 49add6a36f (このIDを非表示/違反報告)
みずき - とても面白いです！リアルを忠実に再現しているところとか良かったです！無理せず更新頑張ってください！ (2022年8月26日 20時) (レス) @page29 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - あんですよ〜さん» ありがとうございます！ (2022年1月19日 23時) (レス) id: 6c8d13eae6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しずく | 作成日時：2021年10月9日 13時
