恋する覚悟はできていた

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一先ず、市内で起きているという事件のニュースを横目に朝食を素早く終わらせた。

食べている間にも続報をしらせるニュースは止まらず、予想外の緊急事態で混乱が起きていることは中継先の様子を見てもわかる程だった。

『なんでこんな時に………』


アナウンサーによれば被害を受けた人間も同様に暴徒化しており、非常に危険な状態の為いち早く安全な場所へ避難するようにとのことだった。

勤務先の教員のライングループもそのようなメッセージで先程から通知が途絶えず、とりあえず避難場所に移動する為に数日分の衣料と、念の為に用意していた防災グッズを持って外に出る準備をした。

身支度を終えて家の外を伺うと、近所の人も同じ様に外の様子を伺いながら道のあちこちでその様な光景が見てとれた。

周りを見渡すとどうやら暴徒化した人間は居らず、
普通の見慣れた街とは変わらない様子だった。




アパートの駐車場へ向かい、自分の車に荷物を乗せて乗り込む。

勤務先の学校は自宅からだいぶ離れた場所にあり、指定された避難場所ではない為、取り敢えず私はここから数km先にある中学校を目指す事にした。





***







車を走らせて目的の中学校に着くと、同じ様に避難してきたような車が何台か駐車場に停められていた。

ニュースでは避難するようにと報道していたにも関わらず、止められている車の数の割には中学校は閑散としている。
車から降りて校舎の横に併設してある体育館へ向かい中に入ると、そこは親子が冷たい床の上に座り込んでいた。


｢あっ、もしかして避難されてきた方ですか…？｣
『ええ、そちらも？』

親子2人はニュースを見て近所であるこの中学の方に避難してきたらしい。駐車場に停められてある車の数から、他に避難してきた人を見掛けたかと聞くと
2人は首を横に降った。



｢私たちもさっきついたばかりで…体育館へまっすぐ歩いて来たので校舎の方は何とも…｣

『そうなんですね…私でよければ校舎の方に誰か居ないか様子を確かめてきましょうか？』

｢それは助かります…！でも、貴方1人で大丈夫ですか…？｣

『一応学校の先生なので、不審者の対応は勉強しているので大丈夫だと思います。ただ何かあった時にすぐ駆けつけられるように、この番号に連絡してください。』


手持ちのレシートに自分のスマホの番号が書いて母親に渡すと、母親はその紙をそっと握りしめた。

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