検索窓
今日:19 hit、昨日:3 hit、合計:130,845 hit

0-5 ページ7

考えてみれば短い休み時間の間に出来ることいえば次の授業の準備する事ぐらいで、来美ちゃんの所へなんて毎回行けるはずもなく、準備が終わって手持ち無沙汰になった私は、ぼうっと来美ちゃんと間宮くんが話す様子を見ると、等々力くんの顔が少し厳しい表情をしている事に気が付いた。

間宮くんは来美ちゃんと等々力くんと同じ弓道部で、来美ちゃんの紹介で何回か言葉を交わした事があった。
身長も等々力くんより大きくて、性格も等々力くんとは真逆みたいな人。




休み時間にふらっとこのクラスを訪れては1番廊下側に座る来美ちゃんに話し掛けていっているようだった。


間宮くんが立ち去れば、等々力くんは少しその厳しい表情を緩めて隣に座る来美ちゃんに話し掛ける。


『(あ、れ……………………)』



その時少し胸がちくりと痛んだ気がした。
心臓を誰かにきゅっと掴まれたみたいだった。
何故か少し泣きそうになったのは、仲良くなった2人と席が離れてしまったからなのだろうか。



等々力くんが来美ちゃんに見せる表情は、
それはまるで私が等々力くんに向ける表情によく似ていた。


等々力くんが来美ちゃんが好きであろうというのは勘だった。
出来ればそうでは無いことを願ったけれど、私が等々力くんを目で追えば追うほど、等々力くんは来美ちゃんを目で追っていた。

間宮くんと話す来美ちゃんを見ては苦しそうに顔を歪めて、そんな等々力くんを見ていると私も胸が苦しかった。

諦められたら楽になれるのに。
私も等々力くんもそれをしないのは、相手がどうしようもなく好きだから。好きだから諦められない。
片想いがこんなにも苦しいなんて、あの頃の私には想像もつかない事だった。

だからといって来美ちゃんを嫌いになるということは私の選択肢にはなかった。
来美ちゃんは席が離れた私を気にかけて、「Aは淋しくない??」と心配してくれる可愛い来美ちゃんは私の唯一無二の親友となっていった。

それでも等々力くんのその苦しそうな表情だけはお別れの最後の日まで私の頭の中から離れることはなかった。

0-6→←0-4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
172人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

m(プロフ) - さらさん» はじめまして、コメントありがとうございます!嬉しいと言って頂けて何よりです!ミンジュンくんもかっこいいですよね!是非更新しましたらまた読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月10日 8時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!等々力さんも大好きなので、お話書いてくれて嬉しいです!!一番はミンジュンくんです!!続き楽しみにしてます!!コロナで大変ですがお体には気を付けてくださいね!! (2021年2月9日 23時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 化狐さん» コメントありがとうございます......!等々力さんのお話少ないですもんね。是非また更新しましたら読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
化狐(プロフ) - 等々力さんの小説を待ってました………っ!!更新待ってます!!!ありがとうございます…! (2021年2月9日 20時) (レス) id: 8707569254 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - にゅーとさん» コメントありがとうございます!嬉しいと言って頂けて何よりです。更新頑張りますので、また是非読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月9日 16時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:m | 作成日時:2021年2月9日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。