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・暴徒化した、とされていた市民は実は生きる屍であること
・ここは消防署で、ここに避難している人達は逃げ遅れてしまった人達であること
・もう既に市民の半数は屍化していて、街を自由に歩く事ができないこと
そして、外部に助けを求める連絡手段がないということ
紹子さんの話を聞く限りでも、三浦市は非常に深刻な状況に陥っていた。
紹子さん達も逃げ遅れていた場所で隠れていたところを、私と同じ様に本郷さん達に助けてもらったと話していた。
「本郷さんには本当にお世話になりっぱなしで…何と言っていいのか…」
『そう、なんですね。私も後で本郷さんに会ったらお礼を言わないと。』
「あっ、でもAさんを見つけてこちらに運んだのは確か、」
紹子さんが誰かの名前を言いかけた時、入口の奥から何やら男性同士の会話が聞こえ始めた。
それが段々と近づくにつれて大きくなったところで、数名の男性が部屋に入ってきた。
私は1人の男性が目につくと、大きく目を開いた。
『等々力、くん?』
「…A。目、覚めたのか」
『うん…』
部屋に入ってきたのは何と等々力くんだった。
会話を続けたいのに、その先の言葉はどうしても口からは出なくて、私たちの間には数秒の沈黙が流れた。
それを見ていたある男性が、私に近付いてきた。
「君がAくんだね?私は本郷、本郷大樹。
等々力の上司だ。」
『AAです。紹子さんからは私が眠っている間の事を聞きました。』
「そうか…取り敢えず君が目を覚まして何よりだよ。夕食…といっても消防署に置いてあった防災用だけどね。時間はまだ少しあるからゆっくり休んで」
『ありがとうございます…』
本郷さんが優しく笑いかける。
紹子さんの言うとおり、本郷さんはとても優しい方というがこのやり取りだけでもそれは十分に伝わった。
『あ、あの本郷さん。助けてくださりありがとうございました。』
「…!いや、それは俺じゃなくて、」
「本郷さん、俺ちょっと外の様子見てきます」
「えっ?あ、ああ。わかった。」
本郷さんの言葉を遮って等々力くんが話す。
等々力くんはそういうと、すたすたと部屋の外に出ていってしまった。
「等々力さん、どうしたんでしょうか」
女子大生らしき女の子がぽつりと呟く。
その言葉を返すものは誰もいなかった。
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m(プロフ) - さらさん» はじめまして、コメントありがとうございます!嬉しいと言って頂けて何よりです!ミンジュンくんもかっこいいですよね!是非更新しましたらまた読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月10日 8時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!等々力さんも大好きなので、お話書いてくれて嬉しいです!!一番はミンジュンくんです!!続き楽しみにしてます!!コロナで大変ですがお体には気を付けてくださいね!! (2021年2月9日 23時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 化狐さん» コメントありがとうございます......!等々力さんのお話少ないですもんね。是非また更新しましたら読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
化狐(プロフ) - 等々力さんの小説を待ってました………っ!!更新待ってます!!!ありがとうございます…! (2021年2月9日 20時) (レス) id: 8707569254 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - にゅーとさん» コメントありがとうございます!嬉しいと言って頂けて何よりです。更新頑張りますので、また是非読んで頂けると嬉しいです! (2021年2月9日 16時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:m | 作成日時:2021年2月9日 10時