コーヒーが冷めないうちに・（オマージュ） (ページ2)

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[恋人] ページ2

涼太「じゃあもういくね。」

目の前の幼馴染はいつもと変わらない調子で大きなキャリーケースに手を伸ばしながら言った。

翔太「は？」

予想もしてなかった言葉に口をアングリと開ける。

え？なんで？まだ涼太からは別れようのわの字も聞いてないし、大体のカップルならアメリカ転勤になった彼氏が彼女に別れ話をするのも至って普通。、、、だと思う。

そして自分達は見事にその条件にぴったりだし、おまけに男同士。
大事な話があるとメッセージが来たときはショックで何も手がつかなかったけど、それなりに覚悟は決めてきたし、その場で泣き喚くほどめんどくさい奴になりたくなかった。

涼太「どうした？」

なのに当の本人は優しいいつもの涼太のまま心配そうに顔を覗き込んできて、こうゆうとこ幼稚園から変わらないなと思い少し嬉しくなる。

涼太は優しい、それゆえに残酷だ

俺が悲しむような事や、困ることは絶対に涼太は言わない。

だから今までのことは全部自分発信だった。

だけど、別れ話まで自分に言わせようとしているのか？この男は、

翔太「言いたいこと、あるんじゃないの」

そう考えたらイライラして不機嫌な声が出てしまった。

すると少し驚いた顔をして微笑みながら涼太が頷く。

涼太「あのさ、俺も色々考えたんだけどね、そろそろ良いかなって思って。俺たち」

翔太「早く行けよ」

別れようの５文字を聞きたくなくて、自分から聞いてくせに話を中断させる。

涼太「え？翔太何か勘違いしてるみたいだけど、」

翔太「早く行けよ！時間なんだろ！」

泣きそうな顔を見せたくなくて俯きながらの必死の抵抗をする。

しばらく沈黙が続いた後カタンと椅子を引く音と、お会計お願いしますという声が聞こえた。

ああ、もう涼太とこれっきりなんだと思うと我慢していた涙が一粒ズボンに滲んだ。

。

。

。

翔太「っていうのが一週間前です」

渡辺翔太は再び例の店に来ていた。