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「見ていてください」
そう言って自らの右手を私の顔の前に出す。
そして、何も持ってませんよね?と言わんばかりの動きをして、右手で3つカウントを取る。
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すると目の前に、ポンっときれいな薔薇の花が出てくる。その花は月明かりに照らされ、キラキラと光っている。
『え…』
びっくりしてポカンとしていると、彼は言った。
「どうです?今この瞬間だけ、あなたの心は私のものになりましたよね」
いつもと違い、少しだけ無邪気に笑う彼。
マジックは人の目と心を魅了する。まんまと引っかかってしまったのだ。でもそんなのとっくに………
『あれ?』
「どうかされました?」
『なんか……デジャヴというか…』
(やべ…)
そう、目の前で薔薇の花を……確か、転入した日、黒羽くんに………………ってことはもしかして黒羽くんって…、
いや、そうじゃない。それもある、あるんだけど、そうじゃなくて…今日みたいな月明かりがきれいで、それで、それで…
「貴女はとても綺麗な瞳をしている」
『へ…?』
10センチ。
気づけば私の頬に手を添えた彼が、私の瞳を捉えていた。
その瞬間、また身に覚えのない映像が脳裏を過る。
__……
「きれーな目だな!あっほら!あれみたい!」
「あれ?」
「ほら、__……」
__
「宝石なんてものではななくまるで…ほら、あの月みたいな、穏やかで、煌いてる」
まただ。また、何かを思い出しそう…ばらばらになったピースが1つつながる。刹那、背後のドアが勢い良く開く。
「見つけたぞ!怪盗キッド!!今日こそお前を捕まえる!!」
『な、中森警部!それにコナンくんも!』
「おおっと危ない、ではお嬢さん。また会いましょう。」
私をふわっと抱きしめられ、手に何かを持たされる。
瞬きをすると、目の前に人影はなかった。
「くそ!逃げられた!まだこの近くにいるはずだ!!」
追え、という命令とともに警備員が分かれて捜索を始める。
「あっA姉ちゃん!それ!」
『それ…?なに?』
しゃがんで新一…コナンくんに話しかけると、頭に手が伸びてくる。
「これ、今回盗まれた髪飾りだよ!というかそれ何?薔薇の花…?」
手に持たされていたのは、
一本の赤い薔薇だった。
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華月(プロフ) - milk tiramisuさん» ありがとうございます!!とっても励みになります;; (2019年5月6日 21時) (レス) id: 4a5a738660 (このIDを非表示/違反報告)
milk tiramisu - すごく好きです!このお話! (2019年5月6日 18時) (レス) id: d5e35b6f92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華月 | 作成日時:2019年5月3日 0時