検索窓
今日:38 hit、昨日:55 hit、合計:81,823 hit

17 ページ23

「見ていてください」

そう言って自らの右手を私の顔の前に出す。
そして、何も持ってませんよね?と言わんばかりの動きをして、右手で3つカウントを取る。



3


2


1




すると目の前に、ポンっときれいな薔薇の花が出てくる。その花は月明かりに照らされ、キラキラと光っている。


『え…』


びっくりしてポカンとしていると、彼は言った。


「どうです?今この瞬間だけ、あなたの心は私のものになりましたよね」


いつもと違い、少しだけ無邪気に笑う彼。


マジックは人の目と心を魅了する。まんまと引っかかってしまったのだ。でもそんなのとっくに………


『あれ?』


「どうかされました?」


『なんか……デジャヴというか…』


(やべ…)


そう、目の前で薔薇の花を……確か、転入した日、黒羽くんに………………ってことはもしかして黒羽くんって…、


いや、そうじゃない。それもある、あるんだけど、そうじゃなくて…今日みたいな月明かりがきれいで、それで、それで…



「貴女はとても綺麗な瞳をしている」


『へ…?』


10センチ。


気づけば私の頬に手を添えた彼が、私の瞳を捉えていた。


その瞬間、また身に覚えのない映像が脳裏を過る。


__……

「きれーな目だな!あっほら!あれみたい!」
「あれ?」
「ほら、__……」

__



「宝石なんてものではななくまるで…ほら、あの月みたいな、穏やかで、煌いてる」



まただ。また、何かを思い出しそう…ばらばらになったピースが1つつながる。刹那、背後のドアが勢い良く開く。



「見つけたぞ!怪盗キッド!!今日こそお前を捕まえる!!」


『な、中森警部!それにコナンくんも!』


「おおっと危ない、ではお嬢さん。また会いましょう。」


私をふわっと抱きしめられ、手に何かを持たされる。
瞬きをすると、目の前に人影はなかった。


「くそ!逃げられた!まだこの近くにいるはずだ!!」

追え、という命令とともに警備員が分かれて捜索を始める。

「あっA姉ちゃん!それ!」

『それ…?なに?』

しゃがんで新一…コナンくんに話しかけると、頭に手が伸びてくる。

「これ、今回盗まれた髪飾りだよ!というかそれ何?薔薇の花…?」


手に持たされていたのは、
一本の赤い薔薇だった。

18→←16



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
384人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

華月(プロフ) - milk tiramisuさん» ありがとうございます!!とっても励みになります;; (2019年5月6日 21時) (レス) id: 4a5a738660 (このIDを非表示/違反報告)
milk tiramisu - すごく好きです!このお話! (2019年5月6日 18時) (レス) id: d5e35b6f92 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:華月 | 作成日時:2019年5月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。