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昼食をとり終わったあと、Aはある人物を探して病棟内を歩いていた。
しばらく歩いて角を曲がったところで…
A「…あ。黒田先生!」
振り向いて立ち止まった黒田先生に小走りで近づいて行き、
A「午前中の滝川さんの治療法と投与薬などまとめた記録です」
黒田は渡されたそれをパラパラとめくり一通り目を通すと
黒田「うむ。……青木」
A「は、はい!」
突然、あの冷徹な目で見られて名前を呼ばれ驚いた。
黒田「フェローだからと、新人だからとお前らをゆるく扱うつもりはない。救命ではそんな甘さは通用しない。
立派な医者になりたければ自分から動け。待ってるだけの受け身ばかりの医者のところに仕事は来ないし患者も頼りたいとは思わない」
そう言って黒田は、もう一度目線を合わせるとさっそうと歩いて行った。
A”受け身ばかりの医者…か。いやいや!こんなところで弱気になんかなってられない!ヘリで絶対さっきできなかった分取り返さないと!”
そう1人意気込んでいるAの後ろ姿を遠くから見つめる藍沢。
藍沢「……。」
重大なこと、心の準備をいくらしても足りないようなことは、それが何であっても突然に起こるようにできている。
青木にとっての「そのとき」も唐突にやってきた。
昼休みが終わって間もなく、ドクターヘリの出動要請が入ったのである。
黒田、冴島とともにヘリに乗り込んだ青木は、ローター音の響く機内で緊張のために顔をこわばらせていた。
頰の色はまるで紙のように白い。
隣に座った黒田がAのほうを見ないまま、低い声で告げた。
黒田「いいか?今回のフライトドクターはお前だ。俺はただの付き添い」
Aの顔がますます白くなる。
向かい側のシートから冴島が声をかけた。
冴島「現場の状況、把握しておかないでいいんですか?」
どこかあざけるような口調だった。
慌てて無線機のスイッチを探る青木。
このとき彼女は気づいていたのかもしれない。
自分が今、患者の元へ赴いたところで、何もできないかもしれないということに……。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年9月9日 0時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - asamilkさん» ありがとうございます(//∇//)読者の方のイメージから脱線しないよう頑張ります!笑 (2017年10月22日 23時) (レス) id: dd000cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
asamilk(プロフ) - ゆっこさんの書くヒロインちゃんが好きです。更新楽しみにしてます^ ^がんばってください! (2017年10月22日 22時) (レス) id: dc820a982e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 夕衣さん» あ、ほんとですね!大事なところ、丁寧に教えていただいてありがとうございますm(_ _)m訂正してきます! (2017年9月25日 21時) (レス) id: dd000cbb66 (このIDを非表示/違反報告)
夕衣(プロフ) - 「○○サイド」のサイドのスペル「side」です。「said」じゃありません。 (2017年9月25日 21時) (レス) id: 6ad02585f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっこ | 作成日時:2017年9月24日 19時