Allies are Wizards - ACT 3 ページ11
「マスター、ちょっといいかな」
今マーリンは、フウカちゃんをここに連れてこようとしているのでいない。
「朝起きて自分のサーヴァントが消えていたら気が気じゃないからね」と言っていた。
ピリッとした重い空気の中で、セイバーは唇をそっと開く。
「
「重い話だとはわかっているけど、生前のことを思い出してしまってね…、とっても哀しいんだ。」
伏し目がちの目は、潤いが与えられていた。
「私…いや、僕は、君だけのサーヴァント、なんだ。でも、でもね」
「君が、僕だけのマスターじゃなくなってしまったような気がして。悲しかった。
ふたりの関係が崩れてしまうまで、せめてこの戦いが終わるまでは、君の『ただ一つ』でいたかった」
ああ、ランスロット卿の話だ。
卿は、不貞を働いた。
アーサー王の妻ギネヴィアと、関係を持ったのだ。
最悪だよ
ほんと、その一言に尽きる。
「ごめんなさい」
悲しみを感じるのは私ではないはずだが、私の声も震えている。
「大丈夫なんだA。」
「でもね」
セイバーはすたすたと私に近寄って、前かがみになり跪く。
そう思ったのも束の間、セイバーは私の背中に手を伸ばしはじめた。
私を上へと持ち上げて、立たせてから抱擁した。
ギュッと強く抱擁されて、すこしキツいなとも思えてきた。
そんなとき。
「ふたりの時だけでいいんだ。僕だけを、見て欲しい。」
そう言って落とされるのは、セイバーの薄い唇。
始めは啄むように、その後は芯から熱くなるように。
腰は抜けて、立っていられなくなる程の熱を帯びた。
絡みつくもの同士は、とろけあい新たなモノを成す。
苦しいと感じてとんとん、とセイバーをたたくと、彼は唇を離した。
唇を離して、重ね重ねセイバーは問う。
「もういいね、僕ができることはこれまでだ。」
までってなんだ?までって。無理矢理だったろう。
「
私の思いも知らずに話し始めるセイバー。
わたしは、思ったことをそのまま伝えるのみ。
「洗濯物みたいに真っ白で暖かそうだったから…へへ」
そう私が呟くと、さっきとはまた違った驚き顔で呆然とするセイバー。
「君は変わらないな、マスター……。
これからは、君だけの僕で、僕だけの君でいさせてほしいな」
と。
やさしく聞こえるはずのその声は、心なしか疲れていた。
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作者名:すずみそ | 作成日時:2020年8月14日 9時