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この年のクリスマスは水曜日だった。


しかしシリウスは他の女生徒と過ごすためか、
前もってこの日はいつもの特訓をしないと
Aに伝えていた。


久々に何も予定のない水曜の夜。
それにクリスマス。
一人でいるには無駄に虚しくなる日。


休暇なので実家に帰ろうとも思ったが
父がちょうど出張で家を空けているとのことで
学校に残ることにした。

しかしAにとっては特にクリスマスを
共に楽しむような友人もおらず、
談話室にある大きなツリーの下にも自分宛の
プレゼントなど一つもない。





スリザリン寮でクリスマス休暇中学校に
残った生徒は4人だけで、そのうち2人は
Aとスネイプだった。


彼もまた学校に残る生徒の名簿欄に
名前を記入していた。


理由を尋ねても曖昧に返されただけだった。

折角エバンズと実家が近いのなら
休暇を一緒に過ごせばいいのにと思ったが、
彼には他に帰らない大きな訳がありそうで
それ以上聞かなかった。


変にスネイプとエバンズを
一緒にいさせようと彼に進言するのもただの
お節介だと思うが、どうしても彼の喜ぶ姿を
見たいと思ってしまうのだ。


そして実際に彼が彼女と仲睦まじく
話している場面を見ると苦しくなり、
単純に自分の首を自分で締めている。


彼の恋を勝手に応援しておきながら
いざ友人が誰かのものになってしまうと
また一人になりそうで怖くなっている。



エバンズに面と向かって
「彼とかかわらないで。
 これ以上私たちに近寄らないで。」
と言われてしまえばそこまでの関係。



自分は彼から離れるしかないのだ。

ここまで築き上げたスネイプとの信頼関係も
一気に崩れてしまう。

彼もエバンズの言葉に従うに決まっている。

それが怖くて彼女に近寄れない。

それが彼女を避ける理由。

友人を失いたくないがために逃げているだけだ。







そう思いながらツリーの下に置かれている
数少ないプレゼント達を見る。



『あっ。』



父親からの物が届いていた。

紺地に金色の星柄が散りばめられた包装紙。

小包を開けるとそこには新しい巾着財布が。

イニシャル入りで、
とても可愛らしいデザインだった。

いつも父のセンスは抜群だ。




そしてあと二つ。
まさか自分宛のプレゼントがあるとは。







一つは赤と白のストライプが入った包装紙に
包まれた中くらいの箱。



もう一つは真っ黒な包装紙の
小さな箱。




なんとなく誰からのものかは分かった。

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作者名:maya.t | 作成日時:2020年10月30日 15時

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