My Lord. (ページ33)

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一方でスネイプとも少しずつ
仲を深めていた。

魔法薬学についてAが質問する日もあれば、
スネイプの方からDADAについてやO.W.L以上の
上級呪文について聞いてくる日もある。

相変わらずダークな本の内容ばかりだが
Aも嫌な顔一つせず親身になって教え、
分からないものは二人で調べていた。

今まで人が寄り付かなかった二人だが、
最近ではさらに他の生徒から
避けられるようになった。

Aは、より多くの強力な呪文を学ぶことで
彼の自尊心が保たれるならそれでいいと思っている。

ただし攻撃的なものに関しては絶対に人には
撃つなと念を押している。
もちろん悪戯仕掛け人達に対してだ。

ヴォルデモート率いる闇陣営は恐怖による
支配をしようとしているので微塵も賛同できないが、
闇の魔術に関する呪文の中にも使い方によっては
有効なものも沢山ある。

スネイプは今より強くなってエバンズに
認められたいと思っている。

強くなる＝より相手を痛めつける術を身につける
とはならないよう、Aも教える呪文を
できるだけ身を守るようなものに絞っている。

傷つけるよりも守れる人になって欲しいのだ。

Aは、シリウスやエバンズの言葉とは逆に
彼が本気で闇の勢力に入りたいがために
勉強しているとは思えなかった。

スネイプがすることの原動力は全て彼女なのだ。

この男を横で一年見ていれば嫌でもわかる。

何かと“リリーは”、“リリーならこうする”、
“リリーに比べてお前は”などと彼女のことばかりた。

本気で死喰人になりたくて
闇の魔術に傾倒しているとしたなら
エバンズが一言「嫌よやめて」と言えば
それに従うのではないかと思う。

彼女の反対を押し切ってまで学び続ける理由も
またリリー・エバンズ、彼女のためなのである。

『全く深い愛ですなぁ～。』

そんなことを考えながら
自習室で羽ペンを転がし、呑気に呟く。

「何言ってるんだいきなり。」

『あんたのことだよ。』

「は？

　それよりお前さっきからその文字のスペル
　間違ってるからな。」

横に座り課題のレポートに取り組むスネイプ。

Aは間もなく完成するという羊皮紙3巻に渡る
レポートを見返す。

最初のほうから間違った文字を連発していた。

『ねぇ、気づいてたのに言ってくれなかったの！？
　最初から書き直しじゃんこれ！
　最低！！！！！いじわる！！！！』

「お前のミスだ僕のせいにするな。」