My Lord. (ページ28)

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22時。

眠い目をこすりながらこっそりと
寮を抜け出す。

もちろんハチワレ猫の姿で。

その屋敷へ着けば階段を駆け上がる。

奥の小さい部屋には今日は奴がいた。

「来たな猫。」

ジト目で椅子に掛けるシリウスを見れば
何だその目は、なんて笑って返される。

急に意地悪したくなって、
猫のAは彼の膝に飛び乗り
丸くなって寝始めた。

「おい寝るのか？？」

優しく背中を撫でる大きな手。

その暖かさに本当に眠りそうになってきたので
目を覚ますためにも急いで人の姿に戻る。

『ふざけたつもりだったけどマジで
　寝そうだった、やばいやばい。』

彼の隣に腰掛ける。

「別に寝ててくれてもいいけどな。」

『嫌、何されるか分からない。』

「本当に危機感あるやつならここに来てないさ。」

『あぁそうだね。』

「・・・で、何を考え事してたんだ？」

『あぁ汽車でしょ。
　その悩みならちょうどさっき解決したの。』

「なぁんだ、俺様が悩み相談でも
　乗ってやろうと思ったのになぁ～。」

『とってもお優しい貴族様だこと。』

「やめろよ、俺は家のことが嫌いなんだ。」

『あらごめんなさい。
　それって寮のことも関係あるの？』

先輩の話でブラック家が代々
スリザリン家系なのは知っていた。

「まぁな。
　奴ら純血純血ってうるさいんだ。
　俺は血統なんて信じちゃいない。」

『そうなのね。』

「そんなことより！」

ん？とAはシリウスの方を見る。

「猫！」

『は？』

「お前どうやって猫になったんだ！」

『どうやってって、、、。』

「七変化か？
　それかやっぱり、アニメーガスなのか！？」

『ちょ、ち、近い。』

顔を寄せ捲し立てるシリウスを落ち着かせる。

「どうなんだ。」

『アニメーガスだよ。
　学校に入る前に両親に教わった。
　親が魔法省務めで、身につけられるものは
　なるべく早めにって教育でね。』

「そうか、、お前は優秀なんだな。」

シリウスは顎に手を当てて感心しだす。

『シリウスもなりたいの？』

「ああ。まあ。
　でもなかなか上手くいかないんだ。」

『一人じゃ難しいよね。
　私も親に手伝って貰ったからさ。
　コツ掴むまでは時間かかったけど、
　慣れてしまえばすぐだよ。』

「そうか、、、、。
　なぁA、俺に教えてくれないか、
　アニメーガス。
　どうしてもならなきゃいけないんだ。」

彼の頼み事に対して
Aの拒否権はない。