My Lord. (ページ20)

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季節も冬、春、夏と巡り
気づけば明日は今年度の終業式。

Aは全ての授業が終わると
早々と自宅へ戻るための荷造りをした。

あとは明日汽車に乗るだけという状態になったので
散歩でもしようかと談話室に降りていく。

すると広い談話室には本を読むスネイプ以外
誰もおらず、久々に二人だけの空間となった。

『よっ、元気？』

「あぁお前か。」

一瞥し、すぐにまた本に目を落とす。

あの図書館で勉強を教えてもらった日から、
また何度か分からないところを聞いていた。

いつもAに対して嫌味を言いつつも
分かりやすく解説してくれる彼には感謝している。

そして、少しずつ勉強以外の話も
するようになっていた。

『そっけないなー。
　もう荷造りは終わったの？』

「あぁ。」

尚も本を読み続ける彼の向かい側のソファに座り、
Aはスネイプに向かって話しかける。

『私ももう終わっちゃったの。
　散歩でもしようかと思って来たんだけどね、
　スネイプ君いたからちょうど
　聞きたいことがあって。』

本を読みながらでも
ニコニコ、というよりニヤニヤしながら話す
Aの声を感じ彼は眉間に皺を寄せる。

「なんだ、また下らん勉強の質問か。」

『ううん、彼女のことよ。』

「彼女？？？」

やっと顔を上げたスネイプの顔は
誰のことだと言いたげだった。

『グリフィンドールのエバンズさん。
　好きなんでしょ、見てたら分かるよ。』

キャー！、つんけんしてるスネイプ君も
好きな人いるのねー！なんて
一人で勝手に盛り上がっているAを
睨みつけて低い声で彼は言う。

「いつから気づいてた。」

『否定しないのね。』

「うるさい黙れ、質問に答えろ。」

『そりゃ明白だよ。
　私と話してても彼女が来るとそっちばっかり
　見てるし、なんなら私の存在忘れて
　エバンズさんの方に走って行くじゃん。
　やぁリリー、なんて。』

片手をあげてスネイプの真似をしながら
嬉しそうに話すAに彼は余計苛立った。

『応援してるよ私、
　でももし私が恋路の邪魔なら言ってね。
　元々一人だからまた一人になるのは平気だし、
　それに最近もう一人友達できたの。』

「別に今は邪魔だとは言ってないし、
　友達ができたのはよかったじゃないか。」

『ええ、色々と秘密の関係だけどね。』