No.29 ページ30
リンの姿が見えない。
いつもなら飛んでくるような子なのに、クリスマス──つまり私が倒れた日から、どうも様子がおかしい。
なんと言うか、気を遣いすぎている感じ。
逆に居心地が悪いし、リンには、もっとくだけた笑顔を作ってほしい。
『…居た、』
珍しく、図書館に居た。調べものなのか、随分真剣な様子だった。
『リン…、』
「わぁ！？…って、Aか。びっくりしたぁ」
そそくさと、手早い動きで本を閉じる。
表紙には、“危険な種族の一覧”とある。
『調べもの？』
「え、えぇ。ちょっとね！」
不自然に上擦った声が、彼女の喉から飛び出る。
心なしか、拳を握っているように見えた。
『…体調悪いの？』
「……ちょっと疲れてるかも。慣れない活字に目が回りそう」
お茶目に白目を剥いた彼女が、少し笑った私に微笑んでから図書館を出ていく。
私も帰ろうとした時、ふと、床にメモが落ちているのを見つけた。
立ち位置的に、リンのものだろう。
返してあげよう、とそれを拾い見てみる。
『吸血鬼…？なに、あの子吸血鬼調べてるの？』
対して気にすることもなく、それを丁寧に折り畳むと、ポケットに仕舞う。
『……お腹空いたなぁ』
そんな呟きは、空虚な闇へと吸い込まれていった。
________
『…おはよう、リン。落とし物、』
彼女の顔が、驚愕と困惑に染まる。
少し震える手で受け取った彼女は無理矢理笑みを浮かべるようにして一緒に朝食をとった。
大丈夫？と聞いても大丈夫の一点張り。
そう言われれば言及する理由すらもなくなる私は、結局そこで口を閉じる。
この頃から、少し変だったのかもしれない。
________
たまに廊下で、アリス・レッドガイを見かける。
決まって、リンやスネイプ先生や、ルーピン先生と話をしているようだった。
そして彼女だけならまだしも、リンや先生達でさえ、少しバツ悪そうに目を背けて歩いていってしまう。
なにか、隠し事でもあるのだろうか。
そう思うと、ひどく心が締め付けられる自分が居た。
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エル(プロフ) - とても面白かったです (2021年6月3日 2時) (
レス) id: 519c259dd3 (このIDを非表示/違反報告)
ロォズ(プロフ) - ウパさん» ヾ(>y<;)ノうわぁぁ ウパさんだ！ ここのコメント欄ｽｹﾞ 有名人いっぱいいる！ (2018年6月6日 7時) (レス) id: abf8cbf2de (このIDを非表示/違反報告)
かぜなつ(プロフ) - ロォズさん» マジですか!!!!!!!!ありがとうございます！！！！ (2018年6月6日 6時) (レス) id: 054392ec5b (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ - ウパさん» ひゃぁああああ！？う、ウパ様じゃないですか！！！！ちょ、え、マジか、えぇ！！？よ、読んでくれて嬉しいです！！！そんな、これ以上私から文才をとらないでwwウパ様のほうが凄いですよ！次の作品も頑張ります！ありがとうございました(ノ´∀｀*) (2018年6月6日 6時) (レス) id: 7647cee79b (このIDを非表示/違反報告)
ウパ - ひいらぎさんの作品は前作も今作も本当に素晴らしくてその文才が欲しいくらいです(T-T)完結おめでとうございます。次の作品も全裸期待しています((o(^∇^)o)) (2018年6月5日 17時) (レス) id: 7cb0adc2d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひいらぎ x他1人 | 作成日時：2018年5月16日 19時
