なんでもＢ★Ｌ短編集 コラボ:秒針×ユウ

両片想い１　キヨとレトルト　writer.秒針 ページ9

『…レトさん、俺、好きな人いるんすよ。』

久しぶりの休日。
特にやることもなく家でダラダラとゲームをしていると、暇、とキヨくんからlineが来た。
別に断る理由もないし、生放送の打ち合わせもかねて電話をかける。

そしてベラベラと他愛もないことを話していると、キヨくんがいきなり冒頭の言葉を呟いた。

「…なんで急に？」
『いや、なんとなく。レトさんに伝えとこうかなーって。』
「…へぇ〜」

興味なさげに返事をすると、もうちょっと興味持ってよ〜、と返ってくる。
興味はあるけど、今は平常心を装うのに精一杯で、どうしても素っ気ない返事になってしまった。

『誰とか気にならないんすかー？』
「んー、別にいいわ。」
『じゃあ勝手に話しちゃうもんねー！』
「えぇ〜…」
『今度何か奢るんで！相談のってくださいよ！』
「仕方が無いなぁ…で、どうしたの？」
『…なんかね、いつも隣にいすぎて気付かなかったんすけど、いつの間にか目でおってたり、話せたりすると嬉しくて…』
「…うん。」

いつも隣にいすぎて？
キヨくんにそんな仲のいい女の子がいるなんて知らなかった。

『会ったとき触れたい衝動にすごい駆られるんですよね。』
「触ったらええやん？」
『いや、そういう軽いのじゃなくて！こう…抱きしめたいとか、キスしたいとか。』
「あー、そういうこと。」

耳元のイヤホンから聞こえてくる声は、いつもふざけた彼の声なのに、真剣に相談する声はまるで別の人のような錯覚に陥った。
そのキヨくんに愛されてる人はあのうるさいキヨくんをこんなに静かにさせるなんてすごいな、と心の片隅で思った。
それと同時に、羨ましい、とも思った。
胸がキリキリと締め付けられる。

「告らんの？」
『………もし、ですけど、』

キヨくんの声がより一層低く、真剣なものになる。

『…俺が女だとして、女の俺が告ってきたらレトさんどうします？』
「は？」

キヨくんの発言は斜め上を行き過ぎていて、俺の口からすっとぼけた声が漏れる。

「なんで？」
『んー、いや、なんとなく？』

なんやそれ、って言った声が裏返ったことに気付かないふりをした。
だっていきなりこんなこと言われたら誰だって動揺するだろう。

「…よーわからへんなー。まずキヨくんが女の子っていうのが想像できひんし。恋愛感情抱くか言われたらそれもわからへんわ…」
『…なら告らないです！』


＊＊＊

続く→

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