【ヒロアカ】気づいた頃には君がいなくなっていた (ページ27)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:3,737 hit

君との記憶6 ページ27

死柄木side

『……で』

「あ？」

『なんで、次から次へと大事なものを奪っていくのｯ!!?』

突然の大声

それが誰のものか、理解するには時間がかかった

『返して』

ｶﾞｸﾝｯ

ふと耳元で声がしたと思えば、突然視界が変わる

手には何か温かい感触があり、

目の前にはさっきまで髪の毛を掴んでいた男が腕から血を流していた

じゃあ、今、自分の手を掴んでいるのは…

『…何もするなって、言ったでしょ。ごめんね転弧、私が守るからね』

Aがフッと笑い優しく頬を撫でる

こんな状況にも関わらず、Aは冷静だった

「…お前なあｯ…」

『大切な人に手を出しておいて…なにを怒ってるの？これ以上はやらせない』

彼女の背中から真っ白な羽がはえ、守るように大きく広げた

「!?」

「うｯ…A…！……君、転弧くんか？どうか逃げてくれ」

Aの母さんが言った

羽に隠れて見えないけれど、刃物が擦れあうような音や、鉄の匂いがする

いつしか羽には血がかかり、赤く染まっていた

「ここは危ない。Aと逃げな。」

「でも」

「逃げる方法はある。Aの個性を使うんだ…。
今、Aは私たちを守ると同時に個性の調整もしている。だからいっぱいいっぱいになって、混乱してる。

このまま続けさせたらきっと、この子は夢を捨ててしまうだろう。個性も友も全て。

だから、そうならないように君がみてあげていてくれ。

Aは、可哀想な子なんだ。

そんなあの子に君が光を与えてやってくれ。

君にしかできないことなんだ。」

「Aをよろしくな、転弧くん」

Aの母さんはニッと笑うと飛び出していった

瞬間、

『お前ら全員…

くたばれっ！！！！』

「ｯ‼」

いきなり、身を焦がすような熱風と光が建物を襲った

それはいとも簡単に建物を砕けるような強さだった