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水が滴る少し伸びた前髪の奥から、真っ黒い瞳がジッとAの目を見ながら言った。
流川に恋する女子なら卒倒しそうな状況だ。しかし、黙り込むAではない。
『やだ。私は一緒に入りたい』
「……!」
負けじとAも見つめ返して言えば、流川がその状態のまま不自然に固まった。
「(……カワイイ)」
『なんの顔……？満ち足りた顔怖いんだけど』
半身びしょ濡れのまま満足気な顔をする流川に、Aが顔を引き攣らせる。
ひたすら傾けて傘を持ったまま固まった流川の手を、Aが流川の方に押し返した。
『こう!ほら、相合傘って二人の真ん中でさすんだよ。知ってた？』
「アイアイガサ」
『うん。なんでカタコト？』
ずぶ濡れなのに、なぜか満足そうな彼。
急にカタコトになった流川にAが吹き出した。
『うわ、もう服絞れちゃうじゃん。るかちゃんタオルは？』
「タオル──……無い」
『え？部活で使ってるやつは？今日の朝は持ってたじゃん』
「学校に置いといたらなくなった」
『……ん？』
それは、もしかしなくても学校の流川ファンの女の子達が持っていってしまったということじゃないか。
当の本人はあまり気にしていないようだけど、ついに私物が失くなるところまできてしまったかと思うと若干不憫になってしまう。
人気があり過ぎるのも困りものだ。
『仕方ないな、Aちゃんが特別にキミの面倒を見てあげよう。感謝したまえ』
「……あざす」
『よろしい』
得意げに言ってポケットから出したハンカチで流川の濡れた顔を拭こうとすると、ビチャ、という音と冷たい感触。
ずっとポケットに入れてたからもう雨に濡れてしまったようで、ハンカチもびしょ濡れだった。
これでは拭えるはずもない。ただ雨水を彼の顔に塗りたくってるだけである。
『あれ、ごめん!ハンカチびちゃびちゃだった……』
お姉さんぶったつもりが、なんたる失態。
得意げにした分恥ずかしくて、急いでハンカチの水を絞ってからもう一度拭こうとすると、流川が一言呟いた。
「………雨いいな」
『……は？』
好きだと自覚したからには思いを隠せない流川楓と、察しの悪い赤嶺A。
二人の激しい攻防戦(？)はまだまだ続く──。
✳︎
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玲生(プロフ) - 調べてみたらリョータと同じ市で泣いた (12月10日 22時) (
レス) @page11 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - なーすさん» ご指摘ありがとうございます…!!腎臓ですね…笑修正しておきます😖 (10月24日 1時) (レス) id: 64806ac4ef (このIDを非表示/違反報告)
なーす - 楽しく読んでおります。でも、２つある臓器は、肝臓ではなく腎臓です(笑) (10月17日 23時) (レス) @page33 id: 10ce8bde32 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメントありがとうございます❕嬉しいお言葉が励みです😖リョータとの再会は力を入れなくてはですね…!続編もお時間がある時に覗いていってくださると嬉しいです…!! (2023年4月23日 1時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - 最高に面白くて、すぐお気に入り登録してしまいました！！メープルシロップ色の髪と目は最強ですよね……高校に入ったということはそろそろリョータにも会うんですかね？？その時が楽しみすぎて…😭これからも更新頑張って下さい！応援しています！ (2023年4月16日 21時) (レス) id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Uo | 作成日時：2023年2月13日 14時
