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「流川君、あの……三年生の先輩が"放課後体育器具庫前に来い"って……」
春先、クラス内でもワイシャツ姿の男子が何人か見られる中、しっかり学ランのボタンを閉めた男子生徒の額には、冷や汗のような水滴が伝っている。
多分、恐らくクラスメイトだ。なんだか見覚えがある気がする。
「わかった」
「え、そんな簡単に……ぜ、絶対喧嘩だよ…!三年生の中でも有名な不良らしいし」
男子生徒がビクビクと怯えながらそう言った。
流川より一回り小さな肩を更に小さく丸めて、視線を左右に行ったり来たりさせる男子の様子が、焦りや恐怖を物語っている。
他人事なのに、こんなに顔面蒼白にして心配してくれるなんていいヤツだ。
「おう、さんきゅ」
「……？」
✳︎
「調子乗ってる一年ってのはお前か？」と不良漫画でよく聞くセリフを吐きながら登場した二つ上の先輩をぼーっと見ながら、頭の中は全く違うことを考えていた。
"「……まるで好きな子を見てるみたいだった」"
「(………恋…？)」
「おい、聞いてんのか？」
「あんま舐めてっと痛い目見るぜ一年」
「……」
男達が殴りかかってきたのにも気づかないほど、頭の中はそのことで占領されていた。
ジンジンと痛む頬と背中、口の中に滲む鉄の味で、やっと殴られたことに気づいた。先に殴られたのは俺だから、殴り返しても正当防衛だ。
そう思って拳を握りしめた。その時だ。
俺の目の前に、まるでふわりと風に乗ってきたかのように現れた。
『うっわ!でっかいクセに大勢で一人に喧嘩売るとか、まじだっせぇー!!!』
とんでもなく幼稚な煽り台詞と共に。
「あ？」
「んだと……？コイツ、この一年の知り合いか？」
「は──？オマエ……」
俺の前に仁王立ちする、男達の前に立ちはだかるにはあまりにも小さい彼女。
彼女はこっちを振り向きもせずに、ただそのメープルシロップ色の瞳で精一杯目の前の男を睨んでいる。
「なんだ、よく見りゃいい女じゃねーか。度胸ある女は嫌いじゃねぇ。俺の好みだな」
「俺もだ。それで睨んでるつもりか？可愛いもんだ」
『……失礼な、よく見なくても完璧にいい女です』
ドクンドクンと心臓が鳴る音が自分でも分かった。
男達が怖かった訳ではない。
殴られた頬が軋むほど痛かった訳でもない。
『アンタ達なんて怖いもんか!!るかちゃんを殴ったこと謝るまで、ぜーったい帰らない!!!』
彼女の笑顔に、なぜか呼吸ができなくなったのだ。
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玲生(プロフ) - 調べてみたらリョータと同じ市で泣いた (12月10日 22時) (
レス) @page11 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - なーすさん» ご指摘ありがとうございます…!!腎臓ですね…笑修正しておきます😖 (10月24日 1時) (レス) id: 64806ac4ef (このIDを非表示/違反報告)
なーす - 楽しく読んでおります。でも、２つある臓器は、肝臓ではなく腎臓です(笑) (10月17日 23時) (レス) @page33 id: 10ce8bde32 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメントありがとうございます❕嬉しいお言葉が励みです😖リョータとの再会は力を入れなくてはですね…!続編もお時間がある時に覗いていってくださると嬉しいです…!! (2023年4月23日 1時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - 最高に面白くて、すぐお気に入り登録してしまいました！！メープルシロップ色の髪と目は最強ですよね……高校に入ったということはそろそろリョータにも会うんですかね？？その時が楽しみすぎて…😭これからも更新頑張って下さい！応援しています！ (2023年4月16日 21時) (レス) id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Uo | 作成日時：2023年2月13日 14時
