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でも、喧嘩を教えてなんて言ってもリョーちゃんは教えてくれないだろうな。
脳内で、絆創膏を貼られた垂れた目尻で笑う彼の姿に、じわりと目頭が熱くなった。
拝啓、リョーちゃん。私の遺骨は故郷の沖縄の海に撒いてください。
「……女に殴られたのは初めてだよ」
「おい顔はやめろよ。勿体ねぇ。この女は俺が──がっ……!!」
横からもう片方の腕を掴んできた男が、言葉の途中で呻き声を上げながら倒れた。
頬が腫れ上がって、口の端が切れている。殴られたみたいだ。
この状況でこの不良を殴れるのは、もう一人しかいない。
『──る、かちゃん』
私の声に、彼は反応しなかった。
振りかぶられた彼の拳は私の腕を掴んでいた不良の顔に容赦なく振り下ろされて、よろけた不良のお腹を目掛けてまた殴る。
内心泣き喚きたいほど怖かったはずの男が今はもはや不憫に見えるほど、背筋が凍るような音と共に不良が地面に叩きつけられた。
掴まれている感覚がまだ残ってるような気がして見ると、制服の裾に赤黒いシミができていた。
血だった。でも私のじゃない。
「汚ねぇ」
血のついた制服の裾を見て、彼が不機嫌そうに溢した。
もうやり返してくる余力の無い不良達の顔を、トドメと言わんばかりに殴り飛ばすと、男の曲がった鼻から勢いよく鼻血が吹き出て、彼はまた遠ざけるように私の手を強く引いた。
沈黙が気まずい。
殴り合いの喧嘩なんかしたことがないし、喧嘩に詳しくもないけど、顎とか鼻とか、的確に急所を狙った彼の殴り方は、完全に喧嘩に慣れている人のそれだった。
というか喧嘩が強いなら言っておいてくれ!!!何も知らずに突っ込んでしまったではないか。
でもそれを言ったところで、彼の「どあほう」が飛んでくるのは分かってるので、何も言えない。
何より、まだ身体が震えているのに気付かれたくなくて、誤魔化すように思いっきり笑顔で振り向いた。
『るかちゃん見た？!私のナイスなパンチ!』
「……」
「下手くそだった」
『どストレート過ぎて泣きそう』
これが、中学入学早々にして起きた私と彼の大事件。
よよよ、と泣き真似をする私に、難しそうな顔をする彼。
「オマエ……もう絶対一人で帰るなよ」
『なんで？絶対は厳しいよ──るかちゃんが毎日一緒に帰ってくれるってこと？』
「ん」
『…………え……まじ？』
私と彼が、一緒に帰るようになったきっかけとなった事件でもある。
✳︎
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玲生(プロフ) - 調べてみたらリョータと同じ市で泣いた (12月10日 22時) (
レス) @page11 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - なーすさん» ご指摘ありがとうございます…!!腎臓ですね…笑修正しておきます😖 (10月24日 1時) (レス) id: 64806ac4ef (このIDを非表示/違反報告)
なーす - 楽しく読んでおります。でも、２つある臓器は、肝臓ではなく腎臓です(笑) (10月17日 23時) (レス) @page33 id: 10ce8bde32 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメントありがとうございます❕嬉しいお言葉が励みです😖リョータとの再会は力を入れなくてはですね…!続編もお時間がある時に覗いていってくださると嬉しいです…!! (2023年4月23日 1時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - 最高に面白くて、すぐお気に入り登録してしまいました！！メープルシロップ色の髪と目は最強ですよね……高校に入ったということはそろそろリョータにも会うんですかね？？その時が楽しみすぎて…😭これからも更新頑張って下さい！応援しています！ (2023年4月16日 21時) (レス) id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Uo | 作成日時：2023年2月13日 14時
