@１０ ページ10
x
「桃井」
「あれ、横山くん」
読売テレビでのお仕事のため、局内の廊下を歩いていたら
後ろから最近よく聞く声が聞こえて振り返る。
「あれ、ちゃうねん」
お疲れ様ですと頭を下げると、そう笑われた。
なんで？
「お前のせいで末澤が仕事ズル休みしたからなぁ」
「…それはほんと、すいません。
報連相ができてなかったもので。」
ほんまやで、と言った横山くんは
「ま、そんだけ慕われてるっちゅーこっちゃな」
そう言って私の頭にポンと手を置いた。
私が…慕われてる？
「桃井が消えたーいうてた時は全員お通夜みたいな顔しててんけど、
桃井が戻ってくるーいうてわかった途端、全員顔こんなやで」
横山くんが大袈裟に笑って見せるから、私も思わず笑ってしまった。
「桃井はさ、ほんまに生まれながらのアイドルなんやと思うで。」
「いやいやいや…」
先輩の大袈裟な褒め言葉に、謙遜ではなく首を振る。
私なんかが、
「桃井の周りにはさ、自然と人が集まんねん。
最初は悪意持ってたやつでも、気づいたら笑ってて。
それって、アイドルとして一番大事なことちゃう？」
思い浮かんだのは、私が関西にやってきた当初の関西Jrたち。
確かに最初私を嫌っていた子もいたけれど、
いつの間にかみんなで笑って話すようになれた。
「頑張りや。まだまだ。
きっともっと、凄いグループになれるから」
"凄いグループ"
それは、グループを守るため戦ったことのある人だからこそ、私が今"何のために"アイドルをしてるか分かってくれてるんだろう。
その上での、その励ましが嬉しかった。
「頑張ります！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 767人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
