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「な、何分ですか？」
「1分48秒だね」
「ええ！？」
潜水プールで潜りの練習。
2ヶ月前、水に顔をつけるとこから初め。
「や、やっぱ無理！怖い！」
「何言ってんですか！はい、逃げない！」
「ひぃっマジ無理だから！
私陸の生き物だもん！エラ呼吸できないもん！」
洗面器を前に、大騒ぎの私。
隣の橘さんは元水泳部だからか、指導に熱が入る。
…指導って言っていいのか微妙だけど。
「いきなり泳げって言ってるわけじゃないんですよ！
顔水につけるだけでしょう！？
もう、あんた毎朝どうやって顔洗ってるんだよ！」
橘さんのスパルタ指導の甲斐あって、顔を水につけられるようになった後。
普通のプールでバタ足…クロール、平泳ぎをマスター。
そして、人魚の役なので水の中で息を最低2分間は止めて欲しいという監督の要望に答えるため、もう2ヶ月毎日水の中。
まぁまぁな深さもあるし、水抜きしながら水の中でくるくる泳ぎ回りながらの2分はとんでもなく長い。
「水に顔もつけられなかったのに、2ヶ月でここまで来たんだから。
絶対大丈夫よ。」
今回は絶対2分いったと思ったのになぁ。
肩を落とす私を、そう指導員の方が励ましてくれた。
少し休憩しようかという指導員さんの言葉で、プールから上がってタオルを羽織る。
ガラケー故、水場には持って来れないし
そもそも最近携帯の調子が悪いのだ。
おかげで関西Jrの子たちと連絡がろくに取れない。
ショップに持っていこうにも、そんな暇もなく。
当然、大阪に帰ることも出来なかった。
「も、桃井さん！大変です！」
「な、なに、どうした？」
橘さんの慌てる声に、今真っ先に何かあったのではと思うのは志穂のこと。
橘さんもそれを察して、「志穂さんのことではないです！ただ、ヤバいです！」と私をすぐプールから連れ出した。
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作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
