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「す、末澤くん？」
「んー？」
「そ、そろそろ起きませんか」
末澤くんの誕生日プレゼントに要求されたのは
"膝枕"だった。
ので、今プレゼントしている最中。
…髪の毛、触りたい。触ってもいいかな。
恐る恐るふわふわの髪の毛に触れると、末澤くんがスマホ越しに柔らかく笑うのが見えた。
「ん、できた」
「ありがとうございます」
膝枕をして寝転がる末澤くんが私のスマホを操作して、
一応と正しいメアドを打ち込んでくれて
電話番号も新しいのを教えてくれた。
「まさか俺ら同時期にスマホ買い替えてたとはな」
「タイミングがいいのか悪いのか」
「そりゃ電話も繋がらへんわな」
けど俺メアド変えてへんかったし、やっぱり悪いのはAやろと彼は笑う。
そして、
「アイコン、わんちゃんなんですね」
「かわええやろ」
「誠也くんに似てますね、お顔」
写真を見てた私と、膝上で固まる…誠也くん。
「…急にはなしやろ」
「誠也くんだって急でした」
にやける顔を抑えながら、顔をかく彼が可愛くて仕方がない。
「俺はええねんお前はあかん」
「なんで！？」
「可愛すぎて東京帰したなくなる」
「…なんか言えよ」
「…す、すいません、不覚にもキュンキュンしてました」
不覚ってなんやねんと、起き上がりながら誠也くんが笑う。
そろそろ起きろって言っておきながら、もうおしまいなのかと温もりが逃げていくのが少し寂しい。
「誠也くん、」
「ん？」
ああもう、そんな優しい声で返事しないで。
そんな愛おしいなんて目で微笑んで、頭なんて撫でないで。
…私今から、結構酷いこと言おうとしてる。
「…付き合うのは、やめときましょう」
「せやな」
「誠也くんが、とかじゃなくて…私がきっと両方上手には出来ないので、」
なんでも出来るけど、要領悪いもんなーお前と笑われるが、それも彼の優しさ。
「泣くなよ」
「泣いてません」
「俺も、今のままじゃお前の隣に堂々と立てないから。
そうしたいって言おうと思っててん。
ごめんな、辛いこと全部お前に言わせて」
首をぶんぶんと横に振ったら、また末澤くんが優しく髪をとかして直してくれた。
「けど、忘れんなよ。俺がAを好きだってこと」
「…誠也くんも、忘れないでください。
誠也くんが思ってるよりもずっと」
"私は誠也くんが大好きです"
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作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
