あのコ、きらい。Ⅳ (ページ44)

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「…ちょっと、みんな笑いすぎ」

「だって！Aちゃんが！熱愛！」

「しかも、同棲！…同棲！あはは！無理、お腹痛い」

美海と雪の失礼すぎるリアクションに怒りながらも、

地味に笑いをこらえきれてない真野と志穂にも、

もう！と怒った。

「私だってびっくりだよ…

弟と撮られるとは…」

「まぁ、世間様はAちゃんと颯くんが仲直りしたって知らないし、弟と2人で暮らし始めたこと言ってなかったもんねぇ」

額に手を当ててうなだれる私。

絶賛ツアー期間中で、明日もライブ。

今事務所が週刊誌側と連絡を取っているが、どうなることやら。

颯マジで最悪
こういうのって裏取り?とかしないもんなの?

颯の怒りも最もで、適当な仕事してんなよ！？と言いたいところではある。

…だって、弟だよ？

ちょっと調べたら分かるでしょうよ…

そして、そんな私の一番の心配事は

未だ連絡が取れない末澤くんのこと。

…いや、あの写真みれば末澤くんなら颯だって気づくよね。

…そもそもその前に、飽きられたのかもしれない。

だって未だに、電話もメールもLINEも何も無い。

もしかしたら、気にもされてないかな。

思わず、自嘲気味に笑ってしまった。

「末澤くんには連絡いれたの？」

「…いれないよ、別に。ただの同僚にわざわざ、」

自分で言って、悲しくなった。

見透かしたみたいな志穂の顔に、

思わず暗い顔をしてしまう。

「何何、話も聞かずにぶちギレられたとか？」

「…その方がまだ良かった」

「無視、されてるの？」

心配そうな志穂に、頷くといきなり反対側からドンッとタックルされた。

「いっちゃえ！」

「え？」

「会いに行っちゃえ！末澤に！」

それで、はっきりさせてきな？と美海が私の手を握る。

「Aちゃん、ここのところずーっと暗い顔してるんだもん」

「そんなこと、」

「ある！美海見てたもん！」

"Aちゃんが元気ないと、私たち全体の空気がどよーんってするんだからね！"

と美海は怒った。

そうやって送り出されて、私はその数日後のオフに

「…久しぶり、です」

「は…？桃井、？お前、なんで…」

末澤くんに会いに大阪の地に立っていた。

奇しくもそれは、末澤くんの誕生日だった。