＃４３ ページ43
x
メールを開くのが、いつの間にか癖になったのは
多分…ていうか絶対に"あいつ"のせい。
それなのに、このところ…何度メールを送っても返事が返ってこない。
"飽きられた"
認めたくなくて、
だからといって確認する勇気もなかった。
きっと忙しいだけだと言い聞かせて、連絡を待った。
電話は…1度だけかけたとき、この電話は現在使われていないという自動音声に応答されて以来、できなかった。
怖かった。
仕事帰り立ち寄ったコンビニで、
俺の目に飛び込んできたのは、週刊誌の熱愛記事。
"CRASH・桃井A 同棲熱愛発覚！？
御相手は年下の一般男性か！"
週刊誌の表紙の見出しは大々的にそう、確かに書かれてた。
「…なんやねん、」
"そういうこと"かよ。
乾いた笑いはコンビニのBGMにかき消され、
手に取った週刊誌を元の場所に戻した。
桃井が幸せならそれでいいじゃないか。
何度もそういいきかせながら、コンビニから出た。
ぽつりぽつりと降り始めた雨にも気づかないほど、
何度も何度も言い聞かせた。
"これでよかった"って。
だってきっと、"お相手は、関西ジャニーズJrか！？"
だったら叩かれるのは俺じゃなくて桃井。
辛い思いをするのは、俺じゃなくてあいつ。
『叩かれるのは、桃井さんですよ』
いつかの橘さんの言葉が過ぎる。
だったらまだ、一般男性の方がいくらかマシだろうと思った。
かたや、デビュー11年目を迎えた中堅のデビュー組。
かたや、…グループ組んだばかりの関西Jr。
俺が進めば進んだだけ、桃井が先を行く現実に悔しさが募る。
「…身分が違いすぎるわな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 767人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
