あのコ、きらい。Ⅳ (ページ5)

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新たに始まった映画の撮影。

今回はなんと、人間の役ではない。

「衣装きつくない？」

「はい！大丈夫です」

「監督ー、やっぱり色なんですけど…」

都内某所にて衣装合わせをする私。

足元は魚の鰭になってて、スタッフさんに抱えられながら着替えてようやく椅子に座った。

キラキラ輝くその衣装はとても可愛らしい。

上半身は上着を羽織っているけど貝殻の胸パッドの水着で少々恥ずかしい。

「やっぱり貝殻じゃ、いかにもって感じしちゃうんだよな」

監督も上の衣装にはあまりいい反応を示してなくて、

すぐさま違う候補を渡される。

そうやって何着か試したあとで、ようやく"人魚"の衣装が決まった。

「じゃ、次は人間パートの衣装だね」

「はーい」

疲れてない？大丈夫？と聞かれても、

それに素直に疲れた…なんて言えない。

笑顔で大丈夫です！と返してカーテンの奥に引っ込んだ。

衣装合わせに台本の本読み、その他もろもろのリハは長くかかりそうだ。

関西ローカルで出させて頂いてた30分番組は、先日脅威の15本撮りをこなしたので大丈夫。

東京で収録してるレギュラー番組は、合間で行かせてもらえるけれど

それ以外は恐らく

「え！桃井ちゃんってカナヅチなの！？」

「…実は」

「…この映画、だいぶ泳ぐよ？」

「絶対クランクインまでに克服するので、やらせてください」

水の中になるだろうから、大阪へは暫く帰れなそうだ。