あのコ、きらい。Ⅳ (ページ27)

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「そっかー、ついに東京にね」

高校の時はファストフードのドリンクだった私達も、

今は居酒屋でビール片手に話してる。

それほどの時を、この大阪で過ごしたのだと改めて感じた。

「私も埼玉で就職するから、会えるね」

「私は東京でアーチェリー続けながら、事務の仕事するよ」

お別れという感じがしないのは、そのせいもあるのかな。

「私ね」

「うん？」

焼き鳥を串から外しながら聞く柚葉と、

ビールくださーいと個室から顔を出して店員さんを呼ぶ透子。

「…末澤くんが好きなんだ」

「うん」

「え？」

「え、うん。知ってるよ？」

意を決して2人に伝えたはずの、私の恋の話。

本当は誰にも言わずにおこうと思っていたけど、

2人には、どうしても自分の口から伝えたかった。

「だって、あんだけ嬉しそうにガラスのウサギちゃん掃除してるの見てたし？」

「末澤くんの話するときのA、可愛かったからねぇ」

透子も柚葉も特に驚きもなく、受け入れてくれた。

気付いてたのに、私が言うまで待ってくれた。

…ま、末澤くんは私を好きじゃないかとかは平気で言ってたけど。

私の気持ちについては、大事にしてくれて。

「二人と友達になれてよかったと思ってるよ」

「…Aってさぁ、平気でそういうこと言うよね」

「えー、だめかな？」

「んーん、そういうとこ好きだよ」

笑いあって、枝豆がなくなって

ビールがつきて。

それでも、その夜私たちはずっと一緒にいた。