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「そろそろ、さ？CRASH…戻りたいなーなんて」
「…戻って来てくれるの？」
「いい？」
当たり前じゃんと何度も頷いて、号泣する私につられて全員泣き出す始末。
志穂の方は病院に特別に許可を貰って、五分だけの約束でリハビリ室から電話したからすぐ切れたけど。
「ごめんね、ずっと」
真野からのそんな謝罪に首を振る。
「結果出すまでは帰らないつもりだったから、
あんまり大した土産じゃないんだけど」
手渡されたパンフレットの小さな文字列の中に、"Nanoha Mano"の文字を見つけた。
「ほんと小さな役だから」
「こ、これブロードウェイって書いてあるよ？」
「うん、あのほんとびっくりするくらいちょい役だから…」
あんまり言わないでと困った顔をする真野。
いや、あの舞台に真野が立つってだけで誇らしいのに。
目立つの好きじゃない真野らしいなとは思うけど。
「私もいい？」
そろりと白い腕を挙げた雪が、珍しく緊張した面持ちでみんなを見回す。
「うん」
「杞憂真夏、本屋大賞受賞しました」
その一言に、全員が固まる。
「杞憂真夏？」
「え、あの最近色んな賞総ナメしてる新人作家だよね？」
「ちょ…待って、あれ雪なの？！」
あれ？言ってなかったっけ？
そんなすっとぼけに、全員が声を揃えて「聞いてない！」と叫ぶ。
「みんな聞いてこーへんから言うの忘れてた」
素性を隠して執筆活動に勤しんでるのは分かってたし、
なんなら…あまりになんの報告もないから、触れちゃいけないのかと思っていた。
「ちなみに志穂は最近ゲームのチャンピオンシップで準優勝したよ」
そう真野が教えてくれた直後、
「リハビリより頑張ってたからね」
「…それはそれでどうなの」
雪の聞き捨てならない密告に笑った。
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作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
