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ありふれた、レッスンがある日曜の朝だった。
「…はよ」
「おはようございます」
珍しく末澤くんが私よりも先にレッスン場にいた。
ストーカー事件以来。え、まさか。
「あ！別に今日は…早起きしただけやから」
末澤くんのその一言にホッとして、「今日いい天気ですもんね」と笑う。
「あのー…さ、」
「はい？」
「…グループ、解散したいって思ったことないん？」
突然の疑問に、え？と固まった。
グループを、解散…
「考えたこと無かった」
「はぁ？」
「いや、言われたことはありますよ？
デビューして３ヶ月くらい経った時かな。
事務所の偉い人に呼ばれて、解散でもいいよって。
あとは、4人が活動休止した後に。」
あぐらをかいた末澤くんは、鏡に向かってストレッチを続けたまま
「そんときはなんて答えたん？」
「え、普通に解散はしませんって言いましたよ」
「…ちょっとは考えへんかったん？」
「はい、解散はないかなって。
だって、4人とも活動休止選んだってことはCRASHに戻りたいってことだと思ったから。
帰る場所無くしちゃったら、あの子たちどこに帰ってくるの？って感じで。
弟がいるから仕事を頑張れる、関西Jrが待っててくれるからここに帰ってくる、
それと同じです。
4人がいるから私はCRASHでいようって思うんです。この先も。」
そう答えてすぐ、レッスン場の扉が開く音がして
彼が立ち上がる。
「…お迎えですって」
面倒くさそうに左手をポケットに入れたまま、
右手でレッスン場の入口の方を指した。
「え」
扉から入ってくる人たちを認識したら
もう、言葉が出なくて。
顔を覆ってしゃがみこんでしまった。
夢？
駆け寄ってくる足音と、騒がしい声が夢じゃないんだって教えてくれる。
「迎えに来たよ、帰ろ！Aちゃん」
「美海…」
顔を上げると、懐かしいツインテールがぴょこぴょこ揺れる。
真野ちゃんも、雪もいる。
「ええ子で待てた？」
「…私雪より年上なんですけど」
「ただいま、Aちゃん」
「おかえり、真野ちゃん」
真野ちゃんがスマホを私の顔の前に差し出すと、そこには
「志穂、」
『ごめんね、Aちゃん』
首を横に振ることしかできなかった。
絶賛、リハビリ中とおもしき志穂の姿。
最後に見た時よりも元気そうで私は泣き崩れてしまった。
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作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
