あのコ、きらい。Ⅳ (ページ20)

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その数日後、最後の一人の宮入志穂から突然連絡が入った。

日付と時間がきっちり指定され、

その時間帯のリモートならと言われた。

「すみません、何度も連絡して」

『大丈夫ですよ』

「あの俺『関西Jrの末澤誠也くん、でしょ？』」

…もうこれグループLINEで情報共有されてるなってレベルで、飲み込みが早い。

画面の向こうの宮入は、俺の記憶の中のその人よりもだいぶ痩せていた。

病気だというのは、本当らしい。

『私は見ての通り、ね？』

「…お願いがあります」

『え？』

「他の3人一緒に説得してもらえませんか？

馬鹿な事頼んでるって分かってます。

でも、あの人らと喋ってるとなんか…

イライラするんすわ！」

え、イライラ？と画面の向こうで宮入が戸惑うのが見えた。

「活動休止の言い出しっぺが自分やから戻られへんとか、

最年長なのに桃井に全部背負わせたから戻られへんとか、

自分勝手に活動休止して、京都いたのに桃井が1度も会いに来ーへんくて自分は要らんから戻られへんとか、

知らんがな。戻りたいならはよ戻れよって感じやし」

これを黙って聞いてくれてる宮入は、

どう思っているんだろう。

「全員戻りたいけど…みたいな空気醸し出して、

なんなん？

戻って来いって、そこまで桃井にまた背負わせようとするんやったら、

あいつはこのまま関西に居させます。

あんたらには返さへん。」

全部言いきった俺に、『…言いたいこと全部言いました？』と宮入が尋ねた。

「あんたも」

『私？』

「…あんたも、急に見舞い来るななんて言うなや。

あいつ、毎週あんたに買ってくお土産嬉しそうに選んでたんやぞ。

病気悪化したら閉め出すって、あんたは優しさのつもりかもしれんけど。

そういうの言ってもらわれへんのが1番苦しいって分かったってほしかった」

『もう来なくていいって言われたって、言ってました』

正門が教えてくれた、あの冬の日何故あいつがあんなに泣いていたのか。

来なくていいって言われたことも、病気の詳細をしらせてもらえてなかったことも、

あいつにとっては全部、優しさじゃなかった。