＃１８ ページ18
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そしてまた数日後。
3人目に会うため、俺は京都に向かった。
ドデカい和風の屋敷の応接間に通される。
CRASHの金持ちのボンボンキャラ。
「すみません、お待たせしちゃって」
「こちらこそ、忙しい時にすみません」
本城雪。
腰まであるCGみたいに綺麗な黒髪を靡かせて、
丸い眼鏡をかけた彼女は今まであった2人よりもだいぶ大人しい印象で、
失礼かもしれないがアイドルっぽさは1番なかった。
見た目的にもキャラ的にも秋野の方が最年少感が強いが
確か、この人が最年少。
「どういったご用件で…なんて、白々しいか。
美海と真野ちゃんから大体は聞いてます。
"関西JrのAちゃんに懐いた番犬が噛みつきに来る"って」
とんでもない伝言のされ方してんなと唖然としてたら、
平然と「嘘です」と言われて目が点。
嘘？何が嘘？
「…あー！ていうかダルいからこの喋り方もうええかな？
あ、なんか飲む？ビール？」
「え…え？」
豹変の仕方が凄すぎて置いてきぼりの俺。
ただ、聞きなれた方言に少しの親近感を覚える。
隣の部屋へ消えた彼女は、プシュッと缶が開く音をさせたあとで戻ってきた。
「…私も戻らへんよ、CRASHには」
「なんでですか？」
「だって、自分勝手に活動休止しといて
今更戻りたいですなんて言えへんやん。
何そんな図々しいこと言うてんのってなるやん。
それにさ、私ずっとここに…京都におったのにAちゃんは1度もこーへんかった。
…それって、私が要らへんからやろ。」
ゴトッと雑に置かれたテーブルの上のビール…じゃなくて、
サイダー…だなこれ。
「悪いけど、みんな戻る気ないで。
Aちゃんが4年かけて1人で積み上げたもの、今更崩されへんよ」
ごめんね、と部屋を出ていこうとするのを呼び止めた。
「あいつがここに来れなかったのは、貴方の夢を邪魔したくなかったからやと思います。
あいつは！…あいつが1人で積み上げたのは、全部5人で活動する未来のためですよ」
それだけ、確かに聞いて無言で戸は閉められた。
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作者名：x | 作成日時：2023年9月29日 8時
