あのコ、きらい。Ⅳ (ページ15)

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＃１５ページ15

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「でも桃井は、口には出さないけど関西に来てからもずっとCRASHのこと…

5人のCRASHのこと考えてました。

いつか戻ってくるって信じて…あなたたちのこと想って活動してたのを、俺は知ってるから。」

CRASHの話をする時の桃井は、活き活きしてて…

楽しそうだった。

好きなんだろうな、メンバーのこと。

そうしつこいくらい伝わってた。

「戻ってきて欲しい」

「え？」

「…桃井は、ずっと心の中で叫んでます。

今も変わらずずっと。」

メンバーのやりたい事を優先するあまり、自分が疎かになって言えなくなって。

みんなの"今"を聞いてどんどん言えなくなってたんだと思う。

「…ごめんけど、戻れないよ」

「どうして！」

「…志穂が病気なの」

「それは、照史くんから聞きましたけど

あんただけでも戻ったってくださいよ！」

しんとした会議室に俺の声がぐわんと響いて、沈黙が訪れた。

会議室に入ってきた時のテンションとは打って変わって、秋野が静かに言った。

「それ以外にもあるの。

戻れない理由。

…私なんだ、最初の言い出しっぺ。

海外から仕事のオファーきて、それを受けるために日本での活動を休止した。」

"私が言い出して壊れちゃったのに、今更戻って一緒にやろうなんて言えないよ"と彼女は困った顔をした。

時間だから、と席を立った彼女が部屋を出る直前。

「…君は、よく知ってるねAちゃんのこと」

そう言って、扉を閉めた。