あのコ、きらい。Ⅳ (ページ11)

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映画の撮影が終わった桃井は、

本当に約束を守り大阪に戻ってきた。

でも、それから１ヶ月経っても２ヶ月経っても

東京へ帰る見通しは立たなかった。

「何お前、聞いてへんの？」

「何を？」

久しぶりに大阪へ帰ってきた照史くんがご飯に誘ってくれて、会話をしていたら自然と話が桃井へと移った。

だから、思いきって「どうして桃井は東京へ帰らないのか」と聞いてみた。

桃井と仲がいい照史くんなら、何か知っていそうだと思ったから。

「なんやてっきり桃井から聞いてんのかと思ってたわ。

いやな？俺も最近偶然知ったんやけど…

メンバーの宮入志穂ちゃんわかるか？」

「ああ、あの前プログラミングの大会で入賞したゲーマーの…」

そうそう、と言いながら照史くんの箸が延びる。

「あの子、なんやずっと病気しとるらしいで？

ほら、秋野美海が韓国の番組に出とる時、俺もあっち行く仕事あってな。

その時出会して、そろそろCRASH戻ったってやーってお節介承知で言ったんよ。

そしたら、"自分らが戻ったら病気のあの子がプレッシャー感じるから"戻られへんねんて。」

メンバーが病気だなんて…あいつ一言も。

公表すらされていないその事実を、あいつは今まで1人で背負ってたのか。

「そっから美海とよう連絡とんねんけど、

なんや今年の年明けにでかい手術したらしいで。

一応成功して、リハビリ中やと。」

やからきっと、近いうちCRASHも復活できるんちゃうか？と照史くんは言っていた。

年明けに手術…正門と抱き合って泣いてた桃井が頭に思い浮かんだ。

あいつが泣いてた理由って

もしかして、これか。