第三十六話(1)※アニメ第26期7話参照 ページ16
子ども達を龍に託し、半助は見張り小屋敷地内を歩く。
勝手に修繕された建物を除けば、以前訪れた時と大きく変わった物はない。
だが、地面には真新しい人や馬、台車の跡が残っており、何者かがここを利用していた事を伝えていた。
見張り小屋と言っても、ここはまるで砦のような場所。身を隠すには丁度いい。
山賊や盗人が潜伏でもしているのかと半助は思っていた。
だが。足跡に人間や馬、荷車の跡もある。
大きな何かをここで行なっており、人気のない今は撤収した後、ということだろうか。
まず先に調べるべきは、あの修繕された建物だろう。
そう考えて、半助は建物に近付く。
すると、「もう勘弁してくれ!」と、困ったような情けない男の声が中から聞こえた。
声からして、声の主は忍たま達ではないが、中で何かが行われているのは確かなようだ。
音もなく半助は建物の障子前まで行くと、そっと聞き耳をたてた、その時だった。
「乱太郎危ない!」
団蔵の焦った声と同時に、「うわぁああ!?」と乱太郎の声。
そして、その声に驚く間も無く半助が聞き耳を立てていた障子がぐらりと傾いたかと思うと乱太郎が障子越しに倒れ込んでくる。
勿論、この一連の流れの中で半助が避ける暇などはなく、半助は障子を挟んで乱太郎にべしゃりと地面に押し潰されてしまったのだった。
※
「はぁ〜、それでこの建物の掃除をしていた、ということだな」
「あはははは…はい…」
「この馬鹿者ぉ!」
半助の怒鳴り声が響き、乱太郎、伊助、団蔵の3人の肩が跳ねた。そして何故か一緒にいた山賊3人もぴゃっと小さく声を上げる。
3人の話によると、団蔵から見張り小屋が何者かに占拠されていると聞き駆けつけたところ、そこにいたのは山賊だった。
しかも山賊達は不思議なことに、建物の中を荒らすどころか掃除しているではないか。
だが、その掃除の仕方が余りにも雑過ぎて、怒った伊助が山賊達が昼食に一時場を離れたのを立ち去ったと勘違いし、掃除をし直し始めた。
そこに、昼食を終えた山賊達が戻って来て鉢合わせしてしまったのだが、雑な掃除の仕方に怒り狂っている伊助は掃除をする手を止めるどころか、山賊達に清掃指導までし始め…半助の聞いた「勘弁してくれ」という声はそこで山賊が嘆いたものだった。
「だって、この人達前も自分達のアジトを汚くしていたんですよ!その時は僕が掃除したけど!」
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ししゃもん(プロフ) - 千里丸さん» コメありがとうございます!同じ好みの方がいて嬉しいです!引き続き頑張ります!今作品が終わったら別キャラの忍たま夢にも挑戦する予定でいました。加えてシチュのリクもありがとうございます。できうる限りご期待に添えるよう取り込みたいと思います! (2019年4月1日 23時) (レス) id: 2f089d0de5 (このIDを非表示/違反報告)
千里丸 - 二度コメ失礼します。希望としては、夢主と男装夢主が同一人物であることが土井先生より先に誰か(以下A)にばれてしまい、秘密を守ってもらうためAと話すことが多くなってしまい、土井先生が嫉妬…みたいな展開が見てみたいです。ご検討いただければ幸いです。 (2019年4月1日 9時) (レス) id: 1ee468ee2e (このIDを非表示/違反報告)
千里丸 - 忍たま夢小説では数少ない作りこまれた設定、大好物です。睡蓮さんの考えるお話の設定はすごく好みなので、この小説が終わったら、忍たまの別キャラでも書いてほしいです。ご検討いただければ幸いです。とりあえず今は、「花菖蒲と蓮華草」を頑張ってください! (2019年4月1日 9時) (レス) id: 1ee468ee2e (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮(プロフ) - たまさん» ありがとうございます!糖度低めのお話ですが、胸キュンしてもらえて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年2月21日 11時) (レス) id: 2f089d0de5 (このIDを非表示/違反報告)
たま - 土井先生の夢小説を求めて辿り着きました( 〃▽〃)これからも胸キュンストーリーを楽しみにしてます! (2019年2月21日 0時) (レス) id: 01fbcb5691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃもん | 作成日時:2019年2月9日 13時