第十五話(1) ページ27
古い家屋の中。
そこに少女が立っていた。
灯りは、小さな窓から差し込む月明かりだけ。
月は満月。
明るい月明かりが、眼前の光景を照らし出す。
腕には生温かくぬめりのある感触。
そして、照らし出された光景は、赤。
赤、赤、赤。
まるで化け物を見るかのように、恐怖で見開かれた目がこちらを見てる。
むせ返るような強い鉄の匂いが満喫して鼻の感覚が麻痺してくる。
笑い声が聞こえる。
低い、男の笑い声。
嘲笑うかのように、
高らかに、
笑う声。
身体が震える。
赤
赤
赤、赤、赤
笑い声。
赤、赤、赤、赤、赤
笑い声。
赤、赤、赤、赤、赤、赤
赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤
※
「………!」
勢いよく身体を起こす。
汗で身体中が濡れていた。
「………夢」
呼吸が荒い。
髪の毛が汗で顔にへばり付いて気持ちが悪い。
差し込む月明かりを辿って窓を見れば満月が覗いている。
「………っ」
布団の上で膝を抱えると、鈴は苦しそうに顔を埋めた。
※
「それではこれより、裏山へ出発する!くれぐれも単独行動はしないように!」
「はーい!!」
元気いっぱいのは組の生徒達の声。
今日は1年は組の課外授業の護衛を龍は頼まれていた。
行き慣れている場所とは言え、用心するには越した事はない。
普段以上に半助も念入りに注意事項を確認し、出発する。
天気も良く、風も心地よい。
子ども達がウキウキしているのが目に見えてわかる。
子ども達の邪魔にならないようにと龍はいつも通り最後尾をついて歩いた。
幾ばくか歩くと目的地の裏山に到着する。
短い半助の講義が終わると、あっという間に昼時だ。
「分かったな!では実践は昼食の後に行うとする!以上だ」
わあ、と子ども達の嬉しそうな声。
各々が好きな所に座り昼食を広げ始めた。
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作者名:ししゃもん | 作成日時:2018年10月30日 10時