青空～あの日あいつに出会った～ (ページ8)

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マネージャーさん登場。ページ8

カキーーーン！！！
響き渡った音。そして、盛り上がる観客。
その光景に私は浸っていた。
気づけば試合は終わっていて、周りには人の気配すらなかった。
もちろん、チャラ男もいなくなっていた。
「よ」
後ろから話しかけられる。
そして、冷たい物が頬に当たった。
…アイス。
「今日はちゃんと金あったんで」
「ありがとうございます」
袋を破り、アイスを出す。
空色のアイス。アイスは少し溶けていた。
シャクリ。かじると前と同じ味が口に広がる。
時間も時間で、身体が冷えた。
「どうだった？」
「…野球はよくわかんないんですけど、この前と同じように見てるだけで楽しいです。それに…先輩の活躍もすごかったですし。野球に関しての知識はこれから学ぶんで」
と、言っても彼が出てきたのは２、３回だった。
それでも楽しかった。
何より、試合に勝てた瞬間は凄くテンションが上がってしまった。
隣にいる奴がうるさくて迷惑だったけど。
「…褒め慣れてないんで、今のは恥ずいな…」
「照れてるんですか」
「まぁ」
帽子で顔を隠す彼。
耳まで赤くして。そこまで照れるとは思わなかった。

「市野くん」

いちの、その言葉に反応して私も振り返ってしまった。
“くん”と言われてたから自分のことではないとわかっているはずなのに。
「マネージャー」
「今から部員全員で打ち上げがあるそうよ。……その人は？」
「あ…一乃奈都です。１年の…」
“マネージャー”
彼はそう言った。
制服姿の彼女。前髪は上げていて、ショートの髪。
私とは全然ちがう…女性。
「原田みなみです。…よろしくね？」
微笑む彼女に、微笑み返すことができなかった。