青空～あの日あいつに出会った～ (ページ4)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,207 hit

ですね。ページ4

ぺたぺた。歩き続ける私達。
モナカを食べると、口の中はバニラ味になった。
暑さのせいか、モナカはふにゃふにゃになっていて。
それでも美味しかった。
慎という男は数分で食べ終わっていて、私が食べ終わるのを待っていたみたいだ。
「今から公園、行かない？」
「…公園は改装工事中じゃ」
「大丈夫。そこの公園じゃないところ」
はて。そんなところあっただろうか。
考える。しかし記憶上そんな公園はなかった。
ごくん。最後の一口を飲み込んだ。
「ここから近いからさ」
「え…」
「ほら、行こう」
手を差し出さしてくる男。
その手はモナカのカスが残っていた。
それに気づいた男はパンパンと手を払い、もう一度手を差し出した。
「はい。お供します」
笑って答えた。
側にいることで、この人の中身が分かってくる。
最初はどんな男なのか疑っていたが、なかなか面白い男。
一緒にいると―――すごく楽しくなってしまう。
手を握るとその手は私より倍、大きく。男の人なんだ、と改めて実感する。
大きく、熱いその手。
私の手が小さいのではないか、と思うぐらい大きい。
「俺ね、野球やってんの。だからまめとか気にしないで」
「え？」
よくみると指の間とか、手の甲とかにまめがあった。
そんなこと、全然きにしていなかったのに。
「野球部なんですか」
「うん。主将」
主将…？
頭をかしげてしまう。
それは一体―――…。
そんな私の様子に気づいたのか、男は答える。
「主将っていうのは、部長って言う感じのヤツ」
「つまり…部のリーダーですか？」
「そう」
凄い人なんだ。心の中で評価する。
うちの学校の主将だろうか。
今、聞くチャンスなんでは。
ピタリ。足を止めてしまった。
「あの…うちの学校の人ですよね？」
「………」
答えない彼に不安を覚えた。