特等席 ページ1
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何をするにも中の中、たまに良くて中の上。
良く言えば平凡、悪く言えば中途半端。
それが私のすべてだった。
成績は学年で言えば真ん中で、友達も多すぎず少なすぎずただ親友と言える友達が一人いるのが唯一の救い。
彼氏は今までできたことがない。趣味も特になし。
自分でもつまらない人間だと思う。
「Aはほんとにネガティブだよね〜」
私の唯一の親友兼幼馴染の朋ちゃんこと相田朋香。
朋ちゃんはいつもそう言う。
そんなにネガティブじゃないと思うんだけどなあ。
「でも私って何か得意なものがある訳じゃないし朋ちゃんみたく可愛くもないし…」
「いやAはかわいいよ!!自己評価が低過ぎるんだって」
「可愛かったらすぐに彼氏ができるはずでしょ?」
「も〜なんでそこになるかなぁ?まずは自分に自信をつけるところからでしょ?」
自信…
自信なんて生まれてから芽生えたことないよ。
好きなものがあればその分野だけは夢中になれて自信がつくのかなぁ
「うーん…難しすぎる〜!!」
「そんな考えすぎないで!まずは好きなこと見つけてみたら?ラフに考えてね」
好きなこと…好きなこと……
私って何が好きなんだろう?
朋ちゃんみたいにダンスがすごい好きとかも無いしアウトドアよりはインドア派だし、勉強もそんなに好きじゃない。
……あ、読書は好きかも。帰りに図書室寄ってみようかな。
放課後いつも一緒に帰っている朋ちゃんには図書室に行くからと告げて、目的は無いけど何かあるかもと謎の期待を胸に図書室に向かった。
うちの高校の図書室は他校と比べても特別秀でたところはない、私みたいだ。
だからかな、何故か居心地が良い気がする。
あまり人も来ないし。
いるのはだいたい委員会の人か勉強中の生徒、司書さんくらい。
私もたまに来るくらいだけど、お気に入りの席がある。窓際の一番端っこ。
ここなら目の前は本棚に面しているから顔も見られないし陽の光が入ってポカポカ気持ちいい。
特等席に荷物だけ置いて何も考えずに本棚に向かう。
んー参考書はパス。
料理も特にする気が起きない、小説は…いまは長編読む気分じゃないなあ。
あ、絵本。これにしよう。
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作者名:もも | 作成日時:2020年5月14日 10時