14-9 : 遠征2日目 舞踏 ページ8
Aside
体がふわりと浮いたと思えばゾムが私を持ち上げてくるくると回る
かなり難易度の高い技のようで回りからは歓声が聞こえ、貴婦人達からは黄色い悲鳴が上がる
「ビックリしたぁ」
「優雅に踊るのは自信ないねん、せやから俺のテンポに付き合ってな」
「えっ」
ゾムは私の腕をぎゅっと引き寄せ体を密着させる。いつも前髪に隠れている瞳が私を捕らえ離さない
優雅に踊れないといったもののゾムの舞踏は完璧と言わずもとても美しく、力強かった
見る人を虜にする様子がオスマンとはまた別の優雅さを舞踏に加える
オーケストラの演奏もクライマックスに差し掛かりもう一度ゾムが私の体を抱き上げる
もちろん、回りからは黄色い悲鳴と歓声
ゾムはそれを気にすることなく踊り続け
私はついて行けてるか心配になった
「ええなぁ…こういうのも」
「え？」
「A、いつも忙しそうやったからなぁ…こんな風に楽しむのもええなって」
「…！うん！ゾムのお陰でスッゴく楽しい」
「そうか…なら良かったわ」
ニッコリと笑ってくれるゾムに私も頬が緩む
曲が終わる頃、ゾムは最後にぎゅっと私を抱きしめた
これで終わりかと思ったときにゾムが私から離れることなく少し迷ったような表情をする
「なぁA」
「なにゾム」
「…このダンスの終わりかた知っとるか？」
「？わからない」
「教えたるよ」
そしてゾムは私の耳元に口をよせ囁く
「キスやで」
「っ！？！？」
自分でも顔が赤く染まるのがわかる
大先生といいゾムといい、なぜ直ぐにそういうことをするのか…心臓が持たない…いや。そんなことはどうでもいい…どうでも良くはないけど
「キ…ス！？」
「せやで、だからAの唇貰うで」
「ちょっ！？ちょっと待って！？」
ゾムの吐息と熱を間近に感じる
唇と唇が触れそうになり思わず目を瞑る
「えっ…？」
額に柔らかい感触がした
思わず目を開けるとクスクスと笑うゾムの笑顔
してやられた…からかわれたんだこれ
「…ゾムぅ！！」
「いや、ほんまおもろかったで焦ってて」
「なんでからかうの！」
「ふはっ」
満足したように笑うゾムを見てると何だか許してしまいそうになるがそういう訳にはいかない
そもそも、額にキスされるだけでも恥ずかしいからね！
「そうや…えっと、何て言うんやっけ」
「…何が」
「おまじない。」
「あっ…」
額にキス…おまじない、それで理解した…なんだ、やっぱりゾムは優しい
「いつ、いかなるときもAに幸福がありますように」
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夜空音 - MAGAさん» コメントありがとうございます！いえいえ、そんなに誉めてもらえるほどの物ではないですよ…けれど、そうやって応援してもらえると頑張ろうと思えます。今後ともよろしくお願いいたします (2017年4月9日 1時) (
レス) id: d75dbfea0a (このIDを非表示/違反報告)
MAGA(プロフ) - 貴方様の小説…とても好きです。雰囲気、内容、設定。そして表現の仕方…どれもが素敵です。今までコメントを送る勇気が無かったのですが、かなり前から見させていただいてました。これからも続き楽しみにしています。頑張ってください(^^) (2017年4月7日 0時) (レス) id: 3a4970e686 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - 5‐8さん» ありがとうございます！！魅力的だと言って貰えてとても嬉しいです…！一気に読んで疲れるような文章になっていたら申し訳ないです(・・;)まだまだこの話は続きますので、今後も楽しく読んでもらえるように頑張ります！応援ありがとうございます (2017年3月26日 22時) (レス) id: bfc721df53 (このIDを非表示/違反報告)
5‐8(プロフ) - とても面白く一気に読んでしまいました…それぞれの心情と行動全てが魅力的で、とても素晴らし小説に出会え感動しております…これからも応援しております！更新頑張って下さい！ (2017年3月25日 5時) (レス) id: a6f76012a7 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - 美桜さん» コメントありがとうございます。以下に人間性、現実、理想、そして個人の心をいかせるか頑張って書いているのでなかなか完結しませんが、 これからもよろしくお願いいたします (2017年3月20日 22時) (レス) id: bfc721df53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空音 | 作成日時：2017年2月19日 9時
