17-4 : 殺戮者の夜�� ページ30
ゾムside
「大先生の部屋はもぬけの殻…」
「そっか…ねぇ、フランツの人達って大ちゃんを王様にしたいんだよね？殺したりしないよね？我々が宣戦布告したせいで処刑とか…」
「それはない！！…と、思うで」
「もう一回だ！もう一回探そうゾム！！」
「でももう帰る時間や…これ以上シッマ達に外を任せるわけにはできひんやろ」
「…それも…そう…か…」
俺もひとらんも唇を噛み締める
城の人間は殆ど殺し終わった
なのに目的の人物はどこにもおらん
情報も…何もかも…
「ゾム……さ…ま？」
「あ？？」
「やはり…ゾム様…そのお声は…その体格は…」
「何？殺し損ねたの」
ひとらんが刀を構える
すがるように少女が俺の足にしがみついた
「助けてくださいまし…お願い…しますわ…！誰も…皆も…どこにも皆いないのです…！！官僚達は…みんな…死んで…ぅぁ…兄様もA様もどこにもいなくて…」
ようやく、少女が誰なのか思い出す
大先生の妹でフランツの第一王女
「ゾム…様…なら…助けてくださいます…よ…ね？」
「…」
「そうだと…おっしゃって…くださいまし」
ポロポロと涙を溢してすがる少女
少女の割には口調が冷静で圧力を受けて育ってきたのかがわかる
「妹様、俺は大先生とAを探しとるの。何か知っとることはない？」
「無いのです…私は…何も知らないのです！！」
「ねぇゾム、その子どうするの？」
どうするの…？こないに親しげに話て…俺はこの子供をどうしたいんやろ？
「ひとり…ぼっちは…いや…ですわ」
泣きじゃくる少女を見てももう心が痛まない
だって…この惨劇は俺が作り出したものやから
「そっか…なら…」
ごめんも何も思いはしない
「皆の所に…行こうか」
「…ゾム様！」
少女の手を引く
この場で殺せない俺は…甘い…甘すぎだ…
少し知り合いだからって情でも沸いたんかな
「どうすんのその子」
ひとらんが不審そうに小声で聞いてくる
「…わからへん、でも王女様やから。無意味とも言えんやろ？」
泣きつかれたのか緊張の糸がほぐれたのか
少女は既に夢の世界にいた
「シベリルに…今回の件を咎められない材料にでも使えるかもね」
「そうやな…」
軽すぎる命のやり取り…ここは現実
「A…本当にどこにいるんだよ」
仲間以外を救おうと思えば…犠牲を出すしかない
「ひとらん、とにかく明日報告も兼ねて我々に戻ろうや」
「そうだね…」
一人の生け贄を抱えて夜の闇に溶けた影２つ
17-5 : 逃亡者の夜�窟�←17-3 : 逃亡者の夜��
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夜空音 - MAGAさん» コメントありがとうございます！いえいえ、そんなに誉めてもらえるほどの物ではないですよ…けれど、そうやって応援してもらえると頑張ろうと思えます。今後ともよろしくお願いいたします (2017年4月9日 1時) (
レス) id: d75dbfea0a (このIDを非表示/違反報告)
MAGA(プロフ) - 貴方様の小説…とても好きです。雰囲気、内容、設定。そして表現の仕方…どれもが素敵です。今までコメントを送る勇気が無かったのですが、かなり前から見させていただいてました。これからも続き楽しみにしています。頑張ってください(^^) (2017年4月7日 0時) (レス) id: 3a4970e686 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - 5‐8さん» ありがとうございます！！魅力的だと言って貰えてとても嬉しいです…！一気に読んで疲れるような文章になっていたら申し訳ないです(・・;)まだまだこの話は続きますので、今後も楽しく読んでもらえるように頑張ります！応援ありがとうございます (2017年3月26日 22時) (レス) id: bfc721df53 (このIDを非表示/違反報告)
5‐8(プロフ) - とても面白く一気に読んでしまいました…それぞれの心情と行動全てが魅力的で、とても素晴らし小説に出会え感動しております…これからも応援しております！更新頑張って下さい！ (2017年3月25日 5時) (レス) id: a6f76012a7 (このIDを非表示/違反報告)
夜空音 - 美桜さん» コメントありがとうございます。以下に人間性、現実、理想、そして個人の心をいかせるか頑張って書いているのでなかなか完結しませんが、 これからもよろしくお願いいたします (2017年3月20日 22時) (レス) id: bfc721df53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜空音 | 作成日時：2017年2月19日 9時
