ep20 ページ20
.
新幹線の中は暖かく心地よい揺れによって、夢の中へ落ちていた。
私がダンスを初めたのは小学生の時。
習い事がしたいと親に泣きつき、絶対続かないであろうダンスを選択した。
明らかに自分とは違う世界に、無性に惹かれ、友達と遊ぶ時間を惜しんでダンスに夢中だった。
そして、中学にあがり大阪に引っ越してから、ダンスだけが私を支えた。
友達と上手く関わる事が難しい。
面白みが無いと自信を喪失していた自分にとって、大阪という環境はあまりにも目まぐるしく日々が流れる。
夕方の薄暗さと明るさの狭間が私を照らして、うたた寝していた。
ゆっくり目を開けると、隣の席に、美しい男子生徒が座っていた。
だれもが知っている人。
花壇でよく話す人。
彼のイメージは、高嶺の花って感じで、
あまりの美しさに、目を見開いて思い切り起き上がってしまった。
道枝『あ、起きた？』
『なに、してるの、帰らないの？』
道枝『今日、レッスンやねん』
『え、何時から？』
道枝『16時』
『は！とっくに過ぎてるよ！！？大丈夫！？』
私の慌てた顔を見て、ふふふっと漏れる笑み。
道枝『今日はええねん』
『良くないでしょ…』
道枝『色々あんの』
含みを持った言葉に、体を道枝の方に向けて、顔を覗く。
『しんどい？』
道枝『ん、』
少しだけ困ったように片方の口角だけを上げた。
道枝『小海さんもダンス習っとるよな？しんどくなる時ないん？』
『無いね』
道枝『えぇ〜…笑』
じゃあ共感出来ひんなぁと薄ら笑う。
共感は出来ないけど、多分私にとってのダンスと道枝は違う。
『私にはダンスしかないし、』
道枝『んな事は無いと思うけど』
『大好きなの』
道枝『ダンス？』
『ダンスしてる楽しそうな自分が、好き』
この時の道枝のクシャッとした笑顔にまた恋に落ちた気がする。
私は今、そんな彼のステージを見に行く。
しかも泊まりがけで。
重くてたまらんなぁこれは、…なんて躊躇しつつ、チケット取る手は止まらなかった。
早く会いたい。
彼のしんどいと嘆いた日々を乗り越えた、ダンスステージを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リム子(プロフ) - nanisho48さん» 全力嬉しいです、、！！😭ありがとうございます🥹💖 (12月4日 1時) (
レス) @page15 id: 328e1440a5 (このIDを非表示/違反報告)
nanisho48(プロフ) - 今一番好きな小説です！大吾くんが出てきて更に面白くなる予感(*^^*)更新楽しみにしてます！ (11月23日 21時) (レス) @page14 id: b11abf2238 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リム子 | 作成日時：2023年10月20日 9時
