ep30 ページ30
.
なんで、こんなにも貴方の言葉は私の心を暖かくして行くんだろう。
「全部…」
道枝「全部」
無理せんといて、と心配そうに大きな瞳が私を覗く。
道枝「泣いてもいいし、愚痴言うてもええし、なーんでも聞くし」
「…優しいね」
当たり前やん、と微笑む道枝の隣に、思わず移動して座る。
少しだけ傾くゴンドラに驚いて私の肩を掴む。
道枝「どした！？」
「辛い、ずっと苦しい、私だけ取り残されたみたいで、悲しい」
道枝「おお、そやったん。」
優しく背中をさすられ、より涙が溢れる。
「私は家族が少ないから、友達がそれくらい大事で、それは男女関係なく居て、でもそれを説明するのは難しくて、でも本当に何も無いのに勘違いされてて、！」
道枝「うんうん、」
「偽善者とか、なんで言われなきゃいけないの？良い人でいれるように頑張ることはだめなの？偽善者にもなれないあんたは何？って思ったよ、」
道枝「めちゃくちゃその通り、ほんまおかしいねんあいつ」
「私は、誰も、嫌いになりたくないのに、！」
ギュッと抱き締められるこの温もりに、思わず号泣する。
先程の彼女もきっとこういう気持ちだったんだろうな
絶対受け止めてくれる安心感。
支えてくれるという誠実さ。
全てが壊れかけた心を優しく癒していく。
道枝「Aちゃんの苦しみは、絶対いつか消えるから」
もう、誰かのおかげで癒しは順調にされているんだよ、
だから、道枝の好きな人が私ではダメな事わかっているから、
「一つだけ約束して、」
道枝「…ん？」
「絶対私のこと好きにならないで」
道枝「は、？」
「じゃないと、もう会わない。」
何言うてんのと私の言葉を遮るが、話し続ける。
「約束して。お願い。そしたらこれからも会うから、」
悲しそうな目に、涙が止まる。
ごめんなさい、誰かを傷つけたくないのは、道枝も同じ。
けれど、その奥にいる色んな人が傷つくことも嫌だった。
ならば、道枝のはけ口にならなってもいい。よく分からない誰かに暴露などされるより、
絶対安全な自分なら、世に出すこともないし、警戒心も強いし。
付き合えなくとも、そばにはいられるし。
「いい？」
道枝「分かった、から、」
「うん」
道枝「会わないなんて、もう言わんといて」
捨てられた子犬のように呟く道枝に思わず口付けを落とす。
エゴだ、傲慢だ、私のわがままだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 649人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リム子(プロフ) - おかゆさん» ありがとうございます💖💖 (11月20日 17時) (
レス) id: 328e1440a5 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - スタンディングオベーションです大優勝 (10月19日 22時) (レス) id: cd616799f2 (このIDを非表示/違反報告)
Ange(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！次回作も楽しみにしています！ (10月18日 9時) (レス) @page50 id: b0ff7635b1 (このIDを非表示/違反報告)
リム子(プロフ) - 匿名さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🥹💖💖 (10月9日 18時) (レス) id: 328e1440a5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 毎回、いつ更新されるんだろう！と楽しみにしながら読ませてもらっています！これからも応援してます🫶 (10月7日 14時) (レス) id: 42fe11d827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リム子 | 作成日時：2023年8月9日 21時
