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〜sgi side〜


久しぶりのAとの帰り道。


「どうだったの?松田さんは。」


もっと楽しいことを話そうと思っていたのに
口から出たのは今日の心配事だった。



「松田さん、めっちゃ仕事できる人でした。」
「確かに、頭切れそうやったな。
 これから忙しくなるから、よかったやん。」
「そうですね。」


俺の言葉に、明るく答えるA。


「松田さんに置いていかれないように
 明日から気合入れて頑張ります。」


そんなに頑張ろうとしなくても
そのままで十分なのにと思いつつ
励ましの言葉を投げかける。


「おう、頑張れ。
 ここからみんな踏ん張りどころやからな。」


ここから先、3カ月ほど
大きな案件が立て続けにある。
動画もイベントも目白押し。
それぞれがそれぞれに飛び回ることになる。


半年先くらいの自分たちを想像しながら
少しの沈黙が流れる。
気が付けば電車は最寄り駅に着いて
家までの道を歩き出した。


「また、今度飲みに行くかー。」
「いいですね。
 最近須貝さんと飲んでないですもんね。」



飲みに行って、その先があったらいいなとか、
少しの期待を込めて、誘ってみると、
案外すんなり承諾される。
ま、そうだよな、俺、地元の先輩だもんな。
別に断られる理由もないし。



「誰かとメシとか行ってんの?」
「え?あー、ふくらさんとか…?」



歯切れの悪いAからの返答に、俺は大体を察する。
この前、コンビニで見かけた後も、
きっと二人で出かけているのだろう。



「ふくらさんと良い感じなの?」
「…良い感じとは?」



怪訝そうな顔でこちらをみているA。



「はっきり、聞いていいの?」
「いや!聞かないでください!」



急な慌てように、思わず笑ってしまう。
こういうところが、分かりやすくて可愛いんだよな。
胸は痛むけど。



「まあ、あいつは、いい奴やし。
 いい方向に進むとええなあ。」
「…ありがとうございます。」



小さな声でお礼を言われる。
Aが俺に向けている感情は、
地元の先輩、同じ職場の人を越えることは
無いだろうと直感的に分かって
つい2人の仲を応援する言葉を口に出してしまった。



「じゃあ、ここで。」
「おう、また明日なー。」
「お疲れ様です。」



エントランスに入っていく、Aを見送って、
夜空を見上げて大きく息を吐いた。

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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