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再び辺りがざわざわして、退場が始まる。
自分たちも立ち上がって、出口へと向かう。


「すごかったです!」
「ね、感動的だったなあ。」


興奮冷めやらぬ感じの彼女の声。


「一日の締め括りに、最高のショーでした。」


人混みの中、にこにこしている彼女を、
少し後ろから追いかける形で歩く。

出口へ行くであろう人の流れに乗って
彼女がどんどん進んでいってしまう。



「A。」


まだ呼び慣れない下の名前で彼女を呼ぶ。


「え?あ、はい…」


返事をして振り返ろうとする彼女の右手を繋いで、
今度は自分が前に立って歩き出す。

ずっと触れたかった彼女の手。
「好き」という言葉が聞けた今日、
もう繋いでもいいよね。


でも自分がどんな顔をして歩いているのか
見られるのが恥ずかしくなって
彼女の少し前を歩くためにスピードが速くなる。



「ふ、ふくらさん…」


少し慌てた様子で俺の名前を呼ぶ彼女に
ようやくスピードを緩めて、
ちょうど横並びになる。



「手、やっと繋げた。」
「え?」
「ずっとこうしたかった。」


さっきは握っただけの手。
今度は彼女の指を絡め取って、
ぐっと引き寄せる。


少し左を見下ろすと
こちらに顔向けている彼女。


「このままだとスマホ見れないけど。
 ナビなしで帰れるかな?」


繋いだ手の方のポケットに入ったスマホ。


「うーん、帰れないかもしれません。」


少し笑って言う彼女。


「でも、このままがいいです。」


手を繋ぐ力がぐっと強くなったのが分かる。



「俺も、しばらくこのままがいいかな。」



そして、彼女の手を握り返した。





fin……

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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