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〜you side〜


ふくらさんと一緒に帰って
次のデートの約束をした日からちょうど2週間が経った。

あの日から特に変わったことはなく、
同じように出勤し、ふくらさんとはオフィスで会って、
仕事の会話や少しの雑談をし、残業をして、
自分の仕事が終われば帰る、そんな毎日。

タイミングが合わず一緒に帰ったのはあの日だけ。
家に帰ってから、たまに2、3通メッセージをやり取りしたけど、
付き合う前から何か変わったかと言われれば
何も変わっていない。

ふくらさんの仕事が終わるまで、
待っていようと思った日もあったけど、
そんなことして迷惑じゃないかと思ってやめたり、
次のデートどこへ出かけるかも、
きっと忙しいだろうと思って、結局話題には出せずにいたり。


「はー。」


ぼーっと、ふくらさんとのことを考えていると
ため息が出てしまっていた。


「どうしたんすか?」


本当にいつもタイミングが良すぎるのは、乾くん。
私のため息をどこからか嗅ぎ付け、ふくらさんの席に座った。
幸い周りはテレビの撮影で出かけており人が少なく、
松田さんも今日はお休みの日だった。


「え?どうもしてないよ。」
「嘘、Aさん、ため息ついてたし。」
「本当?気のせいじゃないかな?」


このまま知らぬふりをし続けようと思って足掻いてみたものの
私の実力では逃れられそうになく、
自分の気持ちの一端をぽろぽろと話すことになった。


「毎日オフィスに来れば隣に居るんだけど、
 すごく遠くに感じてしまうというか…。
 今までと全然変わってないのに。何なんでしょうね。」
「もう、それはめっちゃ『好き』ってことなんじゃないっすか?」


乾くんの口から発せられた『好き』という言葉が
胸の奥の方に沈んでいった。


「Aさんも、ちゃんとあの人のこと好きだから、
 そうやってもっと近くに居たいとかって思うんですよ。
 いや、多分。知らないっすけど。」


知らないと言いながら、乾くんの言葉は、
確実に私のもやもやの核心を突いてきているような気がした。


「んー、難しいね。」
「ま、こういうのは他人じゃなくて
 直接本人と喋った方がいいっすね。
 じゃ、俺編集に戻ります。」


乾くんは立ち上がるとすたすたどこかへ行ってしまった。


明日は、ふくらさんとの約束のデートの日。
仕事を早めに切り上げて、家路に着いた。

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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