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〜sgi side〜


オフィスの昼飯時。
撮影もひと段落してみんながご飯を食べようかどうしようかと
わいわいがやがやしている時。
図らずとも聞こえてきたのは、机を挟んで向こう側にいる
Aと松田の会話だった。


「え?こんな効率の悪いやり方でやってたんですか?
 それは、こうやった方が…」
「あ、ごめんなさい。次から、そうしてみますね。
 ありがとうございます。」


撮影やら講演会やらで、撮影以外にオフィスに居ることが少なかった俺は、
いつの間にか逆転している2人の立場に、
逆転どころか少し攻撃するような松田の言い方に、
驚いたというか少し怒りを覚えた。

隣にふくらさんもいて、その様子を見ていたが、
何も動こうとしないから、ここは俺の出番だと思いAに声を掛ける。

少し渋っていたが、Aを昼食に連れ出した。


オフィスを出て少し歩く。


「須貝さんとご飯なんて久しぶりですね。」


変わらない声のトーンに少し安心する。


「このファミレスにしよか。」
「はい、いいですね。」


店に入り、メニューを見ながら少し話す。


「A、松田といつもあんな感じなわけ?」
「え?松田さん?…あんな感じ、とは…。」


「あいつ、いつもあんな感じでAに
 『効率悪い』とか言ってんのかな?って気になっただけ。
 俺も忙しくてあんまオフィスに居らへんからさ。」


彼女があまりにも気にしていないように話すので
こっちもあまり重くならないように続けた。


「全然いつも通りだったので何も気にしてませんでした。」


あははと、笑いながら続けるA。
伏し目がちに視線を落として、少し黒目が揺れている。
口角は少し無理やり上げているようにも見えた。


「私が効率悪いのは元から分かってるし、
 ここに来てからも自己流でずっとやってたんで、
 むしろ教えてもらった方が有難いなって。
 まあ、教えてもらっても遅いのは遅いんですけど。」


そうやって、また嘲るように笑った。

先に注文しようかとも思ったが、俺の口は止まらなかった。



「それ以上言うなよ。」
「え?」
「お前の昔からの悪いとこ。
 自分のことそうやって下げていうのやめろって。」



そういうと、前までなら黙りそうなAだったが
今日は違った。


「そうですよね。
 でも、前みたいに自分はできないって
 卑屈になってる訳じゃないです。」

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作品ジャンル:恋愛
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琥珀(プロフ) - ユメさん» このシリーズ初めてのコメントがユメさんで、最後もコメントくださって本当に嬉しいです!何とか2人を幸せのスタートラインに立たせれました!そうなんです!首を触る癖めちゃくちゃいいんですよね〜最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (12月16日 21時) (レス) id: 5ab7100f31 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - fkrさんの首に手を当てて話すクセ、魅力的ですよね(完結おめでとうございます! 最後までてえてえたっぷりで大満足です!) (12月16日 16時) (レス) @page42 id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年9月17日 23時

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